女性が働けるようになるのは良いが共働きでも家計が精一杯な状態はだめだ
俺と話をしていた斉藤さんが首を傾げて言った。
「それにしても前田君、あなたそんなすごく勉強ができてたかしら?」
俺はそれに対して曖昧に微笑んで答えた。
「あ、うん、ちょっとしたことがあって本気でいろいろ勉強をすることにしたんだ」
ちょっとしたことというのは60歳まで一度生き続けて、惨めな人生を送って惨めな死に方をしたことだけどな。
「そう、勉強に本気になったってことなのね」
「まあ、自分で言っててなんだけど、人間ちょっとしたことで結構変わるものだと思うよ。
小説を読み始めたのも斎藤さんに勧められてからだし」
「それもそうね、なんとなくわかる気もするわ」
それに付け加え、俺を昔に戻して生き返らせたのは多分日本神話の本州などの創生の二柱である
だから学力関係に関して格段に上がってるけど、これってどう考えてもずるなんだよね。
身体能力も少しは上がってるけど、仮に公立の中学校の部活でレギュラーになれても、プロでトップとして活躍できるような能力はないと思う。
とはいえ日本の破滅的未来を変えるという、俺がやらなければいけないことに比べれば、それでも十分だとは言えない気もするんだけどね。
そして今は女性が男性同様に活躍する社会はすばらしいものになると結構本気で考えられていた。
江戸時代の女性の職業はごく限られていたし、明治から戦前にかけてもそれはそこまで変わらなかった。
それが21世紀には3000万人、日本の人口の約1/4にあたる女性が労働をしている。
太平洋戦争で敗戦し、アメリカ主導の法律の整備が進み、男性を長とするそれまでの家制度が崩壊。
男女平等を唱う民主主義国家へと転換し、昭和20年(1945年)にはそれまで無かった参政権を女性が獲得。
日本の学校教育においても男女共学が実現して、男女が分かれることなく同じクラスで学ぶことになっていく。
戦前は女性が大学に入ることはできなかったが、戦後は女子大学や女子短期大学が創設されたり、男女共学大学制が実施されたことで、次第に女性の進学率が上がっていった。
しかしこれは将来的には女性の晩婚化を進める大きな原因ともなっている。
もっとも大学や短大を卒業した女性は企業へ就職しても、基本はお茶くみコピー取りの事務しかやれず、結婚や出産を理由に退職する人が大多数だった。
専業主婦として育児や教育を行うのは母親、金を稼ぐのは父親の役目という感じだったんだ。
しかしこの頃には子供は2人程度しか産まないことが増えており、それらの子供が学校を卒業して家を出た後は、パートで再び働き始めることも多かった。
そして昭和60年(1985年)に成立した男女雇用機会均等法では募集・採用時における男女の均等取り扱い、昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇などについて、女性労働者であることを理由に男性労働者と差別することを禁止することが法律で定められた。
実際は名目だけでなかなか平等にはなっていないのが実情だけど。
そしてバブル景気の始まりによるそのあとの景気の上昇とともに、企業の人員の募集もどんどん増えて仕事に就く女性が増えたが、そのため買い物や料理を作ったり食事にかける時間などが大幅に減少したため、コンビニやファミレス、インスタント食品が注目を集めるようになりそれらの企業は成長していくようになるがこれも結婚を不要とする原因になった。
しかし、バブルが崩壊すると、長い不況が続き賃上げの抑制や企業の倒産、合併、リストラによる解雇などでフリーターやパートなどの契約社員として働かざるを得なくなり、結婚したものは夫だけの収入では家計の維持が難しくなり、共働きで生計を立てる家庭が増加。
企業側でも終身?雇用の必要性のないといったリスクの少ないアルバイトの雇用が望まれるようになり、双方にメリットがあることとして、女性の活用がより期待されるようになったがここに落とし穴がある。
出生率が1.75にまで下がっていることを受け、1975年の「育児休業法」が改正され、男女ともに子どもが1歳になるまで育児休業を取得できることが定められたが、それを使えるのはごく一部だけ。
そして女性の管理職比率は1割程度で国際的にみてかなり低い水準であり、第一子出産後の女性の離職率は6割に達し、出産、育児後に再就職する場合は、パートやアルバイトになる人が6割と結局公平なのは見た目だけで男女雇用の均等化は有名無実な存在となっている。
そして結局女性の社会進出が、結果として二人で働けばもっと豊かに、その結果もっと幸せになれる! ではなくて、二人で働いてやっと昔の一人分の稼ぎしか得られなくなり一人が脱落するととたんに困窮し、子育てや家庭にかけられるリソースが家庭から奪われた挙句、保育園も利用し辛くさらに生活がジリ貧になり、シングルマザーだとまともに子育てもできない状況となってしまった。
それでも政府や財界は日本の女性の社会進出はおくれていると言い続けていたが。
こんな状態では出生数が激減していくのは当然なのだが、無能な財界のトップたちは労働者を安く使えることがいいことと最後まで思っていたようだ。
あの後の日本がどうなったかはしらないけど、世界の核廃棄物の最終処分場になったんじゃないかな。
子育てにかけられるリソースを政府や財界などの社会が家庭から奪ったのだから、少子化が進むのは当然だけどね。
だからやるべきことは、家庭における育児や教育ができるような状況にすることだろう。
男女関係なく、仕事に出ようと家庭を守ろうと、どちらでも好きなように生きていけるように選択できるような会社を作って会社内に保育園などの育児施設を作り安心して働くことができる、巨大な会社を作り上げたい。
そしてそれが今から可能なのはゲーム関連と通信事業関連だと思う。
具体的にはホムコンなどのコンシューマゲーム、パソコンゲーム、カードゲームやパソコン通信から発展するSNSと携帯電話事業だな。
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