ロスアンゼルスオリンピックはいろいろ考えて行われていたんだけど光と闇がすごいね

 週間少年ホップを読んでいたらこちらの亀にオリンピックの名物刑事が出てきていたので、テレビもよく見たら、オリンピックムードで盛り上がっていた。


 昭和59年(1984年)はロスアンゼルスオリンピックが開催される年でもあったんだね。


 その4年前のモスクワオリンピックは共産圏、社会主義国では初の開催となったんだけど、この時開催都市に立候補したのは、ソ連のモスクワとアメリカのロスアンゼルスだけだったんだ。


 これは金銭的な負担が開催都市に大きくなって開催のメリットが無くなってきていたかららしい。


 スポーツ大国のソ連がオリンピックの運営を全面的に担うというモスクワ開催は支持を集めたんだけど、冷戦下において東側諸国の盟主的存在であるソ連で行われたこの大会は、その前年の1979年12月に起きたソ連のアフガニスタン侵攻に対する非難の意思表示として、アメリカや日本を含む50カ国近くがボイコットを行なった。


 この西側諸国の集団ボイコットによりオリンピックの権威が失墜し、ロサンゼルスオリンピックでは東側諸国を巻き込んだ報復ボイコットにつながった。


 そしてそのロスアンゼルスオリンピックは税金を使わずに行われ、スタジアムも1932年ロサンゼルスオリンピック時のものを使っていて、それまでの大会は、スタジアムの建設や環境整備などで開催都市が多額の費用を負担し、赤字続きで大きなダメージを残したこともあり、1984年大会の開催都市立候補はロサンゼルス市だけになっていて開催継続の危機だったんだね。


 そして開催に対して税金を使わなければ、前回のなどのボイコットのような政治的な介入がおこなわれなくだろうと考えたロス五輪実行委員会の依頼を受けた雷通は商業オリンピックという従来にない手法を提案。


 大会のテレビ放送は莫大な放映権料を払ったメディアのみに与え、スポンサーは1業種1社にしてその価値を高め、入場料の徴収を行い、会場の広告や五輪マークなどの使用もやはり巨額の契約金を払った公式スポンサーだけに制限し、一般市民から「有料聖火ランナー」を集い、1キロ3000ドルで販売。


 その結果、ロス五輪は400億円の黒字を記録したのだけど、この大会の商業主義的成功が、その後の五輪に影響を与える商業主義の発端となった。


 ロス五輪以降の大会では、表面上は黒字が続いているのだけどあくまでもそれは大会運営にかかっているお金だけでインフラ整備でかかる費用の返済に苦しんでいる。


 この商業オリンピックの大幅な黒字は、結果として開催都市や国の招致予算を増大させIOC委員には巨額の賄賂による買収工作が行われ、どんどん五輪を腐敗させていった。


 もちろんそんなことは今の時点ではわからないことだけど2020年に開催された東京オリンピックは史上最大の大赤字で結果的に大失敗している。


 そもそも都知事が『貯えのある高齢者は東京五輪に寄付してほしい、個人の資産もご協力をお願いする』などと言っていた時点でおかしかったんだ。


 ソウルも北京も、アテネもバルセロナも五輪を開催した後に景気が悪化しているんだけど、1976年開催のモントリオールオリンピックは約1兆円の赤字が出てその負債の象徴と言われたのは、巨大なメインスタジアム。


 そして1兆円の負債は不動産税を増税してその赤字返済に充てたり、連邦政府は宝くじを発行したり、ケベック州では煙草税の増税などを行なって、2006年まで、30年をかけてようやく赤字を返済した。


 2008年の北京オリンピックも表面上は140億円の黒字だけど、そのためのインフラ整備に4兆5000億円かかったと言われていたりするし、1998年の長野五輪でも会場となった長野県内の5市町村が、競技施設の建設などで背負った借金の返済は20年かかっているが、オリンピックにより知名度上昇で期待した観光客はむしろ減少を続けていた。


「本当になんでおんなじ失敗を繰り返すんだろうね」


 そんな状況だからその後の日本、特に東京の荒廃はひどかったんだよ。


 それはともかくハイパーオリンピックみたいなゲームもあって、テレビでも簡単に見られたから学生でもオリンピック人気は結構高かったんだけどね。

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