新たなバニーガールチーフ

バニーガールクラブ「ライラック」

この春に高校生になった鳳聖雪(15)がオーナーに就任したバニーガールクラブ。

立ち並ぶ大人のバニーガールキャスト達を前に、私はオールスルーストッキングの上にバックシーム付き網タイツの上に黒いバニースーツと長袖の燕尾ジャケットの“燕尾バニー”をパリッと着こなし、10cmピンヒールを履いて立っていた。

同じ様に私の隣には同じ仕様の黒い燕尾バニー姿のお母さんもいる。

私のお母さん、おおとり走美はやみ(31)は地元盛岡では有名なカリスマバニーガールとして、お母さんを慕って応募してくる女の子の数も多い。

その中で最もお母さんの信任が厚いのが北海水峰(24)さん!

高校の制服を最も立派に褒めてくれた彼女はブロンドのパーマに水色の瞳と、まさに理想の大人のオ・ン・ナ♡

そんな彼女は今日、

「それから新人事を発表します。オーナー補佐兼後見役兼バニーガールチーフに、北海水峰さんを任命します」

-パチパチ

「おお〜」

「おめでとう〜」

まるでみんなが当たり前かのように水峰さんのバニーガールチーフ就任を受け入れた。

バニーガールチーフとなれば、バニーガールキャストの総まとめだけで無く全フロアの責任も持たなくちゃいけない。

全員のバニーガールおんなのこからの人望が無いととても務まらない役割だ。

「水峰さん、新たなオーナーとなった私と一緒に、そしてこのライラックのホール全般を、未成年の私が出れない代わりにお任せします!」

「ありがとうございます。聖雪ちゃ…いえ、聖雪新オーナー」

「これまで通り聖雪でいいよ、水峰さん。そしてバニーガールチーフ就任の証にコレを着て仕事して貰います!」

そんな彼女に、私から贈り渡したのは私とお母さんがバニースーツの上に着ているデザインと同じ長袖のバニーガール用燕尾ジャケット!

お母さんが言っていた。バニーガールには燕尾服のジャケットを羽織る事で女の子の正装になるんだと。

バニーガール達の地位や役割を表すんだと!

「これは…燕尾ジャケット!?」

「カフスとカフスボタンは私が預かるから今ここで羽織って見てください」

「はい、オーナー…いえ、聖雪ちゃん」

水峰さんは嬉し涙が出るのを堪えて両腕のカフスとカフスボタンを外し、それを私が燕尾ジャケットと引き換えに預かった。

燕尾ジャケットを羽織り、燕尾バニー姿となった水峰さんはこの日の為に新調した黒のバニースーツがパリッと映えて高級感とバニーガールチーフとしての威厳とオーラが増しはじめた。

「すごい似合っています!北海新チーフ!」

「カッコよすぎて何とも言えないです!」

バニーガール《おんなのこ》達からも大好評の反応だ。

「水峰さん、この燕尾ジャケットは私の家族とこの店の管理職だけが着ることを許されているバニーガールチーフの証です。これを着てこの店の私が出てこれない場面を、キャストの皆さんをお願いしますね」

「はい…!粉骨砕身バニーガールチーフ、勤め上げます…!」

私と両腕を握りしめ、ホールを託したその目には、堪えていた嬉し涙が決壊していた。

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