第25話

部屋に戻ってきた。

キャリーバックを持って出たのは、何かを入れるためだ。

何かはわからない。


「こうへいくん、よくわからなかったよね」

「うん。正直」

「箱舟計画って、聞いたことない?」


そういや、聞き覚えがある。

詳しくは知らないけど・・・


「実は、もう地球はあぶないの」

「確かに、問題が起きてるね」

「なので、新たな星へ人類を移すことにした。ここで、学んだ事は、そこでの生活のため」

雛乃さんは、てきぱきと作業をしている。


すると、部屋は宇宙船へと変わる。


「私が病気で休学してたことは話したよね」

「うん」

「私は、その間ここにいたの。その時にこの計画を知らされた」

「そんな前から・・・」

雛乃さんは、頷く。


「でも、男女が一緒でないと、子供は作れない。小学生でもわかるよね?」

「うん」

「だから、私は君をパートナーとして選んだ。ここに連れてきたのも、そのため」

「なんで、僕を?」


間を置いて、雛乃さんは答える。


「あなたの事が好きだから。嫌いな人の子供は生みたくない」

二人称が、あなたに変わっている。


「では、行こうか。こうへいくん」

「どこへ?」

「新たな星へ」

「了解」


間があった。


「戸惑わないの?」

「うん」

「断らないの?」

「うん」

「どうして?」


それはたぶん、君と同じだよ。


「じゃあ、行こうか、あなた」

「Ok」

「あなたと出会ったのも、必然だね」

「だね」


次から次へと、箱舟は旅立って行く。

地球の事は、任せよう。


そして、僕たちも旅立つ。


「じゃあ、冷凍睡眠で眠ろうね。ついたら、自動的に目が覚めるから」

「わかった」


「じゃあ、お休み」

「お休み」



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必然への軌跡 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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