第17話

「それでね・・・こうくん」

朝食の時に、雛乃さんがいろいろと、話してくる。


食事の時に、いちばん美味しいのは、こういう会話なのかもしれない。

長らく、忘れていた。


「私が子供の頃ね、お父さんの田舎に行ったんだけど・・・」

「うん」

「そこは、自然はあるけど、何もなくてね」


雛乃さんの話に合わせるように、僕もふってみた。


「僕のお父さんの田舎もそうだよ。おじいちゃんたちの家の近くに駄菓子屋があってね」

「そうそう。たまにしか行かないのに、覚えていてくれてね」

「サービスしてくれたよね」


子供の頃の話で盛り上がった。


僕と雛乃さんの田舎は、内陸地で海はない。

セミの声がうるさい。


でも、雪国なので、祖父母は冬は、都会に出る。

かなり、一致していた。


もしかしたら、同じ田舎だったりして・・・


「みやちゃんの、田舎はどこ?」

「秋田だよ、こうくんは?」

「新潟」


さすがに、偶然はなかった。


僕の祖父母は、冬は大阪に、雛乃さんの祖父母は、冬は東京で暮らしていた。


ここでも偶然はなかった。


ちなみに、僕も雛乃さんも、祖父母は存命して、今はそれぞれの田舎にいる。

長生きしてほしい・・・


「ひ孫の顔見せたいね」

「うん」


話が一致した。

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