第6話

目的の駅についた。

特急で、3時間。


親父に訊いた事がある。


「俺が子供の頃は、昼間の特急で、12時間以上も距離を走る特急もあった」と・・・

当時は今よりも、シートレベルが悪かったので、考えられない。


「こうちゃん、ここから歩くよ」

「美耶ちゃん、タクシーは?」

「だめ」


仕方なく歩く事にした。


その間に、たくさんお話をした。

プライベートなこと、学校のこと・・・

思わず笑みがもれた。


「で、美耶ちゃん、僕たちが行くのは?」

「そっか・・・詳しくは訊いてないよね」

「うん」

「なら、話しておくね」

「うん」


雛乃さんは、話しだした。


「今から行くのは、君の自立心を養う場所」

「自立心?」

「つまり、自給自足の生活。たいていの事は、君がやってもらいます」

「なら、どうして美耶ちゃんが?」

「私は、保護者・・・つまりね」

「うん」


「私の夢は、セラピストなの」

「セラピスト?」

「うん。だから、少しでも早い方がいいと思い、飛び込んだの?」

「そう簡単になれるの?」

疑問をぶつけた。


「多分無理。つまり、君は実験台」

「はっきり言うね」

「でも、こんなに可愛い女の子と、共同生活できるなんて、幸せだよ」


なんだって?

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