第5話

トンネルを抜けると、そこは・・・


一面の水平線が、広がっていた。

汚い都会の海とは、違っていた。


太陽が眩しい。


窓を開けようとするが・・・


「特急だから、窓は開かないよ」

雛乃さんが言う。


そうでした・・・

確か、二重になっているんだよな。


まあ、置いておこう。


「ねえ、こうちゃん」

「どうしたの?」

「よろしくね」

「うん。でも・・・」

「でも?」

「高校はいいの?」


雛乃さんが、ここにいると言う事は、彼女も僕と同じで、休学という事になる。


「私は、退学したよ」

「どうして?」

「夢を捨てきれなくてね」

「高校卒業後でもいいでしょ?」

「それじゃあ、遅くなるの・・・」

「そっか・・・」


深くは追求しないでおいた。


となると、行く場所も同じで、同居する。

でも、目的は違う事になる。


ややこしいものだ。

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