第2話

「隣、私の席だから・・・」

「あっ、ごめん」

隣の座席に置いてあった、自分の荷物をどけた。


もっとも、荷物はこれひとつだが・・・


「それにしても、偶然だね、雛乃さん」

「何が?」

「クラスメイトの君が、僕の隣の席なんて、ものすごい確率」

「本当に、そう思う?」

雛乃さんは、僕の眼を見る。


じーーーーーーーーーっ


「見つめちゃ、いや・・・」

僕は顔を赤らめた・・・


「仕方ない教えてあげるわ」

雛のさんは、ふんぞりかえる。


別に知りたくないのだが、断ると後がこわい。

この雛乃美耶(ひなの みや)は、とても天真爛漫で自由奔放。


だけど、少し仕切りたがりの所がある。

それにはむかうと・・・


「お願いします。雛乃先生」

「うん。こころして聞くのじゃぞ。山沖幸一くん」


雛乃さんの、解説が始まる。


「私のパパとお兄ちゃんは、この鉄道会社に勤めているの」

「うん」

「君は、事前に特急券を買ったよね?」

「うん」


もういい、わかった・・・


「しかし、何でわざわざ?」

雛乃さんに尋ねる。


「もちろん、君と一緒に行くためよ。こうちゃん」

「こうちゃん?」


そう呼ばれた事のほうが、驚いた。

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