必然への軌跡

勝利だギューちゃん

第1話

「この部屋とも、しばらくお別れだな」


僕は自宅の部屋のドアを閉めた。


「では、父さん、母さん、姉さん、行ってきます」

家族に挨拶をし、僕は家を出た。


外に出て、住み慣れた家を見上げる。

生まれた頃から住んでいた家。

なのでもう、16年になる。


「今度、この家を見る時は、少しは成長できているかな」

そう想い、足を踏み出した。


足は駅へと向かう。


「さて、行くか」

なるべく前向きに考える事にした。


でないと、今回の意味がなくなる。


駅に付き、切符を買う。

ラッシュの時間か、人が多い。


でも、僕は贅沢をして特急に乗る。

ていうか、特急でないと、時間がかかる。


さすがに、グリーン車は無理だが・・・


ホームでしばらく待っていると、列車が入ってきた。

今年デビューしたばかりの、新型車両。


スマホで撮影している人が多い。

鉄でなくても、珍しいのか・・・

でもやがて、珍しくなくなる。


そういうものだ。

物も人も・・・


指定された席に座る。

窓際を選んだ。


同じ事を考える人は多いもので、乗客は何人かいる。

かなり快適な車両だ。


「普通席がこれなら、グリーン車はもっと快適だろうな」

つい、声に出てしまった。


「この、列車には、グリーン車はないよ」

その声に、驚く。


馴染みの顔がそこにはあった。


「この列車は、モノクラスタイプだから、グリーン車はないんだよ」

満面の笑みを浮かべる少女。


「雛乃さん?」

「奇遇だね、山沖くん」


あまりの事に、声がでなかった。

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