*

*




 夢の中で、君に会えた気がした。

「もうやめない?」

 ぼやけた顔と声で、でもそれは間違いなく彼女だった。服はお気に入りでよく着ていたワンピース、もう暫くその存在を認知していなかったが。

「私はそこにいないよ」

「じゃあどこに」

 反射的に声を返した。彼女は笑う。笑う?顔も見えないのに?でも彼女は今笑っている。僕の好きだったあの笑窪を作って、笑っている。

「あなたの隣に」

 そうか、それならまた、この家で彼女の姿を探してみるのもいいかもしれない。意識が沈んでいく。彼女が霞む。目覚めたら彼女の部屋に行ってみよう。そろそろ扉を開けても怒られないだろうから、いつものようにノックを三回、朝の挨拶、それで。




*




コンコンコン。

「おはよう、今日は、…………」

コンコン、コン。

「……おはよう」


がちゃり。





「……遅いよ、ばーか」





目が、合った。





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