第8話 有馬の湯

 ここからは神戸電鉄で有馬温泉へ向かう。すでに暗くなっており、車窓は見えなかったが、あと少しで温泉に入れるという思いで温泉へ向かった。

 遂に有馬温泉に到着。駅前には太閤像がある。金の湯を通り過ぎ、目的の旅館に到着した。すぐに温泉に浸かった。およそ半日にわたる鉄道での旅だったが、その疲れがお湯に溶けていくかのように無くなった。


おもへば夢か時のまに 五十三次はしりきて

神戸のやどに身をおくも 人に翼の汽車の恩


 鉄道唱歌の第65番である。当時の鉄道は、今より時間がかかっただろう。長い鉄道の旅を終え、神戸に着いた作者もまた、温泉で癒されたのだろうか。


明けなば更に乘りかへて 山陽道を進ままし

天氣は明日も望あり 柳にかすむ月の影


 東海道篇最後となる66番の歌詞だ。気象情報をつけたら、明日は晴れと言っていた。布団に入り、ふと窓の方を見ると、そこには満月があった。

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東海道物語 たんじぇんと @Cynops_pyrrhogaster

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