第9話特訓【走れっ!】
「おはよう。」
レオン先輩は挨拶に来てくれて、私は昨日のことを伝えた。
「うーん、賛成は出来ないな。私はアリアたちの命を預かってるから…」
あいにく、反対された。そうだよね、まぁ、そりゃ…でも、内緒で行くなんて嫌だし、しっかり分かってもらえると思うんだ。レオン先輩だから。私は一所懸命お願いした。
「お願いします!!私はどうにでもなるんです…!身内もいないから死んでも誰も困りません!」
「死んだら私が凄く困るが、仇を打つまで安易に出騎士しても成果は得られない気がする!」
「成果のこととか分からないけど、アリアちゃんが恨みを晴らして、元気になってほしいです!」
「今も元気なときあるけど、何よりアリアが自分で決めたことなんだから、俺はついていく!」
レオン先輩は苦笑いしながら、頷いた。
「みんなの言い分はよくわかった。じゃあ一年だけ猶予をあげる。そしたらまた、一度帰ってきなさい。わかった?」
私は凄く嬉しくて、喜びと決意で身体が震えた。
「ありがとうございます!必ず仇を討ちます!」
「さあ……一騎打ち戦はたしか明後日よね……それまでに舞楽の基礎を伝えるわ」
クララは言う。セーバーを持って、私達に技を教えてくれるのだ。
「きっとできる。頑張ろう。」
まぁ、なんとも言えないけど、基本的なことを教わって、それをどう伸ばしていくかでその人の舞楽が決まるらしい。
「あの的を切れたものは、……?なんだっけ…?」
「勉強な!で、できなかったら…徹底的に肉体改造だ!」
だ、大丈夫かな…?まぁ、いっか
「ッ!余裕だぜ〜!」
カルラはバッキバキに的を壊す。セルシオも、アナも…
「アリア、やってみて…」
クララは私に言った。
「うん…。」
できる気がしない。私は本当に下手なんだ。
でも、みんな出来たんだから、きっと…
私は思いっきり走り、的にセーバーを当てた。当たった!だけど。
「あれ?」
切れない?!勢いが足りなかったのかな……何度もその後剣を縦に振り続けたけど…的は壊れない。
「よし、じゃあ三人は俺と勉強しよう!」
わぁ〜…すっごく恥ずかしい。王女として、人として大丈夫なんだろうか?落ちこぼれなのは昔からだから仕方ないと思ってるけどね…。
「気にすることないわ…今日は晴れよ。いい運勢になる…。多分ね」
クララは私に言ってくれた。
「ごめんなさい、気を使わせてしまって。」
ということで、舞楽の訓練が始まった。
「アリアはきっと慎重に行動しているから、勢いがないんだよ…でも、それを逆手に取った舞楽もある…。」
なるほど。
「勢いを一時的につけることは難しい…殺意から生まれる強さは、聞いたことがないし…」
うーん、と考えるクララ。すると。
「ちょっとクララちゃん〜!ケイ教えるの下手すぎるー!代わってよ!」
アナが凄く嫌そうな顔して来た。
「あー…やっぱり?ゴメンねアリア、代わって来るね…」
クララは申し訳なさそうに行ってしまった。
「なんか追い出された〜」
代わりにしゅんとしょげたケイが来た。あの、落ちこぼれの私は教えるの下手な人に教わるんですか…
「あー、勢いか…声を出すのは?どうだ?」
凄く致命的な言い方だけど、大丈夫かな?とりあえず、実践。
「えー、なんて言えばいいかな」
ケイに聞くと、
「じゃあ豪炎の舞、貸してあげるよ」
ということで、豪炎の舞と言いながら的を射抜くことになった。
「豪炎の舞っ!!!気炎万丈!!」
私は名一杯の大声で叫んだ。
「うわああああ!ー!」
当たった!よし、あとは力を込めて……
「おい、アリア!煙が出てるぞ!」
的に当たったセーバー、煙が出てきた。
「豪炎の舞を使ったから…?的、溶けてる…」
大丈夫か…、何が起きたのか、なんだか不思議とていうか、的硬くない?
「そんな…これ、溶けても合格じゃないよね…?って、ケイ?」
ケイはなんだかぼーっとしていた。
「ああ、悪い…アリアって、豪炎の舞って感じしないから…次は、氷風の舞って言って見て。」
今度は討とう。速くできるようにならなきゃ…
「氷風の舞!!瓦解氷消!!!」
今度こそ、今度こそ……!当たったセーバーから、冷気が出てきた。
「やっぱり!アリア、才能ある!」
ケイは私の手をとって、目を輝かせた。
「できる、できる!!アリアは、どんな舞楽も使えるんだよ!!」
どんな舞楽も…?で、でも…
「的は射抜けなかったよ?力が足りないんじゃない?」
ケイは首を横に大きく振った。
「違う、これは。アリア多分ね、異種の舞楽が使えると思う。あ〜、わかんないけど、僕の兵にもいたかもしれない!」
全っ然分かんない。異性の舞楽??やっぱりクララに聞いたほうが…
「クララは今忙しいから、一緒に走ろう。スタートダッシュに勢いをつける特訓だ!」
そう言いながら、めっちゃめちゃ速く猛ダッシュ。
「わ、待って!」
私も夢中で追いかけた。なんか、ケイのやり方、結構好きだ。役に立ちそうなことを我武者羅にやること。統計や理論なんて関係なく、できることから率先して動くこと。私には出来ない。
「ついてこい!」
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