第2話テクニカルチャート兵
カルラは当時本物の戦士ではなかったみたいで、とりあえず適当な装備を買い、セーバーを持って参加したそうだ。そしてその後カルラと私は厳しい面接、筆記試験、実戦テスト、勝ち抜き戦…入団試験をくぐり抜け、死なないために、生き残るために…サイバー戦士へとなった。しかし、仕事はほとんどなく、先輩が実践し、私達はそのサポートをする。皆から憧れられるアスリート。また私の知らない世界があった。某テクニカルチャート兵以外もあるが、セーバーの解説をしておく。ペンのような形で持ち歩きにとても便利。使う時はペンのボタンを押し、捻るとあっという間に刀になる。
「アリア、飯はまだか」
…偉そうに席に座っている女の子は、あのカルラ。ナイフとスプーンを両手にもち、不満そうな顔だが、武器も装備も一流のエリート。サイバー戦士としての能力も飛び抜けて高く、入団試験では主席の成績を収めている。
「腹が減った…私は今日出騎士が多かったんだ」
しかし、この性格と不器用さは、兵の中でも話題沸騰。顔は本当にきれいなのに。
「カルラ!イライラしても飯はできない!」
「チッ、男なら実力で来いよ」
セルシオは、兵の中でもモテる男の子。何故か髪の毛が長髪…。でもカルラには敵わなくて悔しそうにご飯を運んだ。すると、ガラッとドアが開き、ご飯の匂いを嗅ぎつけたアナがやってきた。
「二人共、世界が危ないのに、そんな小さい争いしないでよ」
アナは優しくて兵の先輩を虜にする女の子。そして、食べることが大好き。手羽先を初めて食べたとき感動したらしく、それ以来手羽先に執着してる。全然太らないのもふしぎ。だけど、お腹が空いていたり、何か嫌なことがあるととても冷たくなる。機嫌は取り取られだ。
「相変わらず食への執着は立派なことで」
カルラはセルシオにもらったスープを飲みながら、冷たい目でアナを見る。そうしていると厨房から若い先輩がパンとステーキをお盆に乗せて来てくれた。
「まあまあ、いいじゃない。お疲れ様ー」
サファテお姉さんは、兵を管理する実力者。今は17歳と、私達より3つ年上だが、私達の頃はアナとカルラを足して2で割った感じだっさそうだ。
「お疲れ様です」
だらしないスープの飲み方のカルラ、それをにらみ続けるアナ、脱力するセルシオ。それらには目もくれず、スタスタ私の方に歩いてくる。あれ、私悪いことした…?
「アリア、あなたセーバーの試験ビリだったわね」
わぁー、それかあ…うぅ…でも、同期はこの一癖曲がった子達しかいないし…勝てない。勝てない。
「はい…」
「強くなくちゃ、兵に入った意味が失われてしまうわ。頑張りなさい。」
私はうなずき、三人とご飯を食べ始めた。すると、好き嫌いの激しい二人が…
「俺ブロッコリー嫌いなんだよねぇ…」
「私パセリ食いたくねぇ」
アナは二人の苦手なものを受け取った。そして、セーバーという剣で粉々にした。実際はセーバーは敵を倒すため、訓練をするためにあるものなのだが…あいにくカルラのせいで機嫌の悪いアナ。グチャグチャの野菜を二人の大好きなステーキの中にグチャっと詰め込んだ。
「わお」
「何すんだ、アナ!」
緑色に染まりしステーキ。嫌な予か…
「アリア、早く食べて!」
「これに関しては頭を下げよう」
結局、緑色ステーキを食べた。これが皆が憧れたアスリートなのか…?!そう思う時は夜もある。
「ちゃんと寝なさいね」
サファテお姉さんが部屋から消えた瞬間、カルラは飛び起きて明かりをつけた。ドアは偶然鉄でできている。よって外に光が漏れることはない…
「カルラー寝かせて」
「眩しい」
早寝組のアナとセルシオはひどく眩しそうだ。
「うるせーな、いいじゃねーか!明日休みだぜ!オフだぜ!」
そう、明日は訓練がなく、先輩方が定期試験を行うのだ。久しぶりのオフに、カルラはテンションが高い。
「ダァから世界は今危ないってば…」
アナはうつ伏せになり枕に頭を沈めた。
「じゃあ、お忍びでどこか遊びに行こうぜ!」
セルシオもワクワクしてカルラに便乗した。
「アリアも行きたいだろ!」
カルラはずいずいと私のベッドに入ってきて、ギュッと抱きしめた。
「ちょっと、カルラー」
私はびっくりして、でも助けてもらったとき以来のハグはなんだか危険な気持ちを催した。
「二人共、さっさと寝ようよ〜」
「アナは遊びに行きたくないの?」
私はアナに尋ねると、ブツブツとつぶやいた。
「アスリートは誘拐されやすいって言うし…下手に遊べないし…」
アナは人の目が気になる性格なのだろうか。
「誘拐なんてねーよ!私達に敵う奴なんていねーから安心しな!」
カルラはまだ私のベットでゴロゴロしながら笑った。結局、そのあとアナはすぐ眠りに落ち、セルシオとカルラも笑いながら寝た。カルラに関しては、私のベッドで…そして夜0時頃、私はしぶしぶ電気を消して布団に入った。ちょっと寒い日だったけど、カルラのおかげで暖かかった。
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