第13話
エリッツの話によると、なんと、僕には魔力が沢山あるらしい。
「え、本当ですか!?」
思わず声が出てしまう。僕の声にラキフェルは戸惑ったように頷いた。
「う、うん、そうだよ…君には魔力が沢山ある。こんなに魔力がある人は初めて見たよ。」
ラキフェルの言葉に、ずっとおにぎりを食べていたアルマが顔を上げた。
「あれ?その反応は、アルちゃんは知らなかったのかなー?」
アルマの言葉に頷くと、エリッツが眼鏡をクイッと持ち上げて話し始めた。
「可笑しいですねぇ。普通の人間なら自分の魔力量くらい知っている筈ですが…」
「確かに、普通は3歳ぐらいに教会で審査を受けるはずだけど…」
アナベラも頷きながらそう言った。教会の審査…俺の人生が一変した原因だ。俺には魔法がないと言われた…
あれ?魔法が無いってことは、魔力も無いんじゃないか?
「アルは審査を受けなかったの?」
「受けたよ……でも…」
魔法が無いってことを言っていいのか不安になる。魔法が無いと自分で言うということは、俺は出来損ないだと言っているようなものだ。
口が詰まった俺に、みんなは首を傾げている。もしかしたら、この人達になら言ってもいいかもしれない。今まで人を信用したことなんてなかったけど、マリアと出会って、仲良しな4人と出会って…俺も、人として成長したい。
「魔法が無いって言われて…」
俺の言葉に、4人は顔を合わせた。
「うーん、魔法が無い…?魔力が無いじゃなくて?」
ラキフェルは困惑したように尋ねてきた。
「うん、魔法が無いって…」
「魔法が無いってどういう事なんだろー?」
「使える魔法が無い…とかですかね。」
「だったら魔力があるのは可笑しいわ」
どうやら、魔法が無いという言葉は可笑しいらしい。俺の為に必死になって考えてくれる4人を目の前にして、フッと笑った。魔法が無い事、言ってよかった。初めてそう思えた。
「もしかしたら、審査する人の能力が弱くて、何も見えなかったとか?」
「あ、それ有り得る!ラッキーも見えなかったんでしょ?」
「ああ…」
「ということは、やはりこの人は能力を隠していることになりますね」
バシッと4人全員が同時にこちらを見た。え?俺なんかした?魔法が無い事言って距離を置かれないことが嬉しすぎて話全然聞いてなかった…
「ねぇ、アル、適性検査受けてみない?」
「適性検査…?」
アナベラが放った聞き慣れない単語にハテナが浮かぶ。
「そうよ。それを受ければ自分の能力がわかるの。」
自分の能力がわかる…?何それ!やりたい!
「やりたい!」
「おおー!いい返事だねアルちゃん!」
「確かに、適性検査では能力を隠すなんて出来ませんからね。これで貴方が信用に値する人物なのか見極めることが出来ます。」
「僕もあれ程の魔力量がどう検査で出てくるのか気になるよ。」
「そうと決まればレッツゴー!」
どうやら検査はすぐに行えるようだ。
親殺しのアル Ryula @Ryula
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