第12話
「ここが、ギルド…」
建物の中には、あらゆる武器を持った人がたくさん集まっていた。その人達は掲示板だろう1枚の木の板に集まっていた。木の板には沢山の紙が吊るされていた。
俺が扉の前で立ち止まっていると、奥の方から3人の人達がやって来た。茶色い長い髪を後ろの高い位置で括っている女の人と、薄い黄緑色のサラサラ髪に、銀縁眼鏡をかけた知的そうな人、そして、ふわふわのピンクの髪に尖った耳の悪魔の尻尾が生えた女の人がいた。
「ラキフェル、この子が例の…?」
眼鏡の人がそうラキフェルに尋ねると、ラキフェルは頷いた。例の…?見学者という意味だろうか。というか、この人たちは誰だろう。疑問に思っていると、ラキフェルは俺の方を見て順に人を紹介した。
「この眼鏡がエリッツで、その隣がアルマ、そしてその隣がアナベラだ。この3人が僕のパーティメンバーだ。」
ラキフェルは紹介し終えると、今度はパーティメンバーに俺を紹介した。
「この子がアルくん。取り敢えず、座って話そうか。」
ラキフェルはそう言うと、俺の手を引いてギルドの端にある丸い机まで歩いて行く。
その後ろからは3人が着いてきていた。
「アルくんはここに座って。」
「え…あ、うん…」
椅子を引かれて促されたので、言われた通りに座る。
そしたら、俺を囲むように4人が座った。
「それじゃ、アルくんが持ってきてくれたおにぎりを食べながら話そう。」
ラキフェルはそう言うと、俺が渡した籠を中心に置いた。中には葉っぱで包まれたおにぎりが入っていた。
「わー!美味しそ〜」
アルマと先程呼ばれていた少女が目を輝かせておにぎりを一つ取る。
「私もひとつ頂こうかしら。」
アナベラもひとつ取った。
「みんな早いよ。じゃあ、僕もいただこう。」
ラキフェルも取る。
俺も食べようと手を伸ばすと、1人じっとこちらを見ている人がいた。エリッツだ。エリッツは腕を組んでじっとこちらを訝しげに見ていた。
どうしたんだ…?俺何かした?
まぁ、見てるだけなら別にいいけど…なんか、食べ辛い。おにぎりの葉っぱを剥いて1口齧ると、塩の味とシャケの味がした。
「エリッツ、食べないのか?」
ずっと腕を組んでいるエリッツのことを見て、ラキフェルが聞いた。
「ええ。初対面の人からの手作りは少し気が引けてしまって…」
エリッツは申し訳なさそうにこちらを見ている。潔癖症なのだろうか…確かに、会ってすぐの人のおにぎりは気が引けてしまうかもしれないが…
「やった!じゃあ私がエリちゃんの分食べちゃうよー」
アルマはいつの間に食べ終わったのか、もう新しいおにぎりを持っていた。
「アルマ、その呼び方は辞めてください。」
「いいじゃん!可愛いから。」
アルマはニコニコと笑っている。何となく、この2人の関係性が分かったような気がした。
「あの…ところで話って?」
意を決して聞いてみた。ギルドについての話だろうか…それとも勧誘?勧誘だとしたら嬉しいけど、俺には魔法が無いから断らなければならない。
「え?あ、そうだったね!……えーっと…」
ラキフェルはチラチラとエリッツの事を見ている。エリッツはその視線に気付いたのか、眼鏡を上げると、話し始めた。
「実は、君の魔力についてなんだが…」
なんだ…?何を言い始めるんだ?
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