第47話確認
「それで、スライムさん達のディスプレイの1点にレーザーを当てただけで、どうしてあんな風な模様が出てくるようになったんですか? 教えてくださいよ」
そう言えばマッドドクターの言う通り不思議な話だな。エビルの8方向の模様にしろ、シスの同心長方形の模様にしろ、全ての光るスライムに割り当てられた番号を指示してグラフィックを表示させていたのに。なんでエビルがマッドドクターのやつに手渡された銃でレーザーを1点に当てたらちゃんと模様が演出されたんだ。
そもそも、シスの同心長方形の模様は、レーザーを当てた部分が光ってないじゃないか。
「おい、お前たち。ちょっともとの8人に戻ってくれ」
「わかりました、マオウ課長」
ポンッ
「よし。256人のディスプレイモードから、8人の通常モードの戻ったな。レーザーを当てられたスライムが光るのはわかる。でも、どうしてその周囲のレーザーを当てられていないスライムまで光って模様になったんだ? シスの同心長方形はの模様はレーザーを当てられたスライムは光ってなかったし」
「それは、エビルさんやシスさんがステキな模様を考えてくださったから……その模様通りに光った方がいいかなと思って模様になるように光ったんですが。まずかったですか、マオウ課長」
「いや、まずくはないんだが……」
『模様通りに光った方がいいと思ったから模様通りに光った』かあ。これって結構すごいことなんじゃあないの。ねえ、マッドドクター。
「ほう。256人に分裂しても、模様を作れるように光ることができるんですか。レーザーを当てられたら光るだけでなく、256人に分裂した個人個人が判断して光ったり光らなかったりすることができると。ほうほう」
やっぱりマッドドクターのやつが興奮してる。そりゃそうよね。いちいち『何番のスライムが光れ』なんて指示しなくても綺麗なグラフィックが表示できるとなれば、なんでそんなことが可能なのか確かめたくてしょうがなくなりそうですもんね。この理系オタクさんは。
「しかし、スライムさんたちがそんな綺麗なグラフィックを表示できるのでしたらわたしの作ってきたこれらの品々はいらないもののなってしまいましたね。自信作のつもりだったのですが」
そういえば、マッドドクターのやつ両手にいろいろ荷物を抱えてるな。
「マッドドクターさん、両手で抱えてるそれはなんですか」
「ああ、マオウ課長さん。これはですね、スライムさんにレーザーを当てた時にいろんな仕掛けを発動させようと思って研究室で作ってきたんです。スライムさんにレーザーを当てたら、音声センサーが反応して『ガチャーン』と音を出しましたでしょう。ということは、スライムさんをレーザーで撃ったら、センサーを反応させられると言うことです。ならば、反応したセンサーに合わせていろんな仕掛けを発動させられるはずですからね。ほら、見てください、マオウ課長さん」
たしかにたくさん種類があるな。
「スライムさんを糸で引っ掛けておいて、センサーが反応したらその糸でスライムさんを持ち上げる仕掛けとか作ってきたんですがね。しかし、どうしても8人のスライムさんをどう識別するかがネックになりまして……8人のスライムさんを8個のセンサーと有線接続するくらいしか方法が思いつきませんくてね。今日は是非マオウ課長さんにスライムさんにセンサーと直接回路をつなぐ実験の許可をもらうべく参上したのですが……おもちゃの銃はその手土産ということで」
こいつ、しれっとなにとんでもない人体実験の提案をしてくれちゃうんだ。わたしの可愛い部下のスライムに有線接続だって。どんなサイボーグを生み出すつもりなんだ、こいつは。そもそも、うちのスライムは256人に分裂してディスプレイになっちゃうんだぞ。その場合はどうするんだ。256人のスライム全員にコードを繋げるとでもいうのか。
「しかしですね、そんな実験はもうどうでもよくなりました。一体のスライムさんがレーザーで撃たれただけなのに、その周りのスライムさんが同調して綺麗な模様を作る。これは、256人に分裂したスライムさんが有機的に繋がっているからなんでしょうか。それとも、テレパシー的な何かがあるんでしょうか。僕としたことが。Merry X'masのメッセージをスライドされられる時点でこの疑問を抱くべきだったのに。ついつい目先の面白さに囚われてしまいました」
ほっ。とりあえずはマッドドクターはわたしの部下のスライムにコードを差し込む実験をするつもりはなくしたみたいだ。
「さてさてスライムさん達。君たちはどうして自分以外がレーザーで撃たれた時にも光るんですか? 実際美しい模様になっていますがね。じゃあなんでそんなことができるのか僕はとっても気になるんですよ。試しにやってみたらできちゃいました? そんな御都合主義は僕は認めませんからね。おや、スライムさん。いきなり光り出してどうしたんですか」
「エビル! いいかげんわたしにも銃のおもちゃをお貸しなさい。自分ばっかりずるいですよ」
「待てよ、シス。もうちょっと俺に遊ばせてくれよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます