第58話
仲直り、できたのかな。
安らいだ顔でお母様に膝枕をしてもらってる晴我くんの無防備な顔、すっごく可愛い。
耳かきをしてあげるときは、いつも顔が見えないからなんだか新鮮だった。
今日、お母様が帰ってくることは本当に知らなかった。知っていたらあんなことをしているところ、お母様に見られるなんてことには……。思い出すだけでも顔が熱くなる。で、でも幸せだったなぁ……もう一回したいなぁ……。
でも、今日は我慢しなきゃ。お母様がいるんだから、えっちなことも我慢……うぅ、我慢しなきゃ。
晴我くんとお母様が仲直りできたから、その代償ってことにすれば我慢できるかも。安すぎるかな?
電話、繋いであげてたのに途中で切っちゃうなんて。晴我くんはせっかちさんだったかな?
晴我くんが電話を切った時……お母様に、よろしくお願いしますって言われたそのあと、私たちの関係を話して、それで晴我くんのこともいっぱい話した。
勉強を頑張っていること。夏休みはアルバイトも頑張っていたこと。
私のことを、すごくすごく大切にしてくれていること。
お母様は晴我くんの話を聞く時、すっごく興味津々で、嬉しそうな顔をしてた。
息子のことを知れて嬉しい、らしい。私には息子なんていないから、よくわからないけれど。
目の前で耳かきをされている晴我くんを見つめる。愛おしくて、愛らしくて、可愛くてかっこよくて好きで好きで好きで。
私のことを考えて、私のことを考え過ぎて不安になって、私に甘えて、私を求めて。
いっぱい晴我くんを感じられた。すっごく幸せ。
晴我くんは優しくて謙虚だから、きっとお母様と仲直りできたのは私のおかげだって思うかもしれない。けど、私は彼女として、恋人として当たり前のことをしただけ。
行動を起こして、話したのは晴我くん自身。もっと自信を持ってほしいのになぁ。
晴我くんは、やっぱり思い出してくれない。
中学生の頃、私と晴我くんは出会った。私は、その時に晴我くんのことが好きになった。
その時の晴我くんはなんというか、少し荒れていた。
私も私で少し荒れていたけど、晴我くんはそんな私に優しくしてくれて。
だから、高校も同じところに入学して。晴我くんに相応しい人になりたくて、勉強もお料理も頑張って。
晴我くんの好みを調べて、調べて調べて調べて。
努力が報われてすごく嬉しかった。告白された時に言われた、「初めて会った気がしない」 という言葉に少し期待したけれど、思い出してはくれなかった。
きっと、思い出してくれるよね。
思い出してくれるまで、思い出してからも、これからもずっと、これまでもずっと、愛してるよ。
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