第42話

「おじゃましまーす……」

愛菜之の後ろについて扉の内へと入る。

ガチャリと音を立てて閉まる黒色の扉が、なんだかひどく胃に痛みを与えてくる。

今度はリビングへ通じる茶色の扉を、愛菜之が開ける。また、それの後に続いた。

向こうには愛菜之のお母さんが待っている。胃がキリキリと痛むが、それでもここまできたのなら腹を括るしかない。

なーに、少し話をするぐらいだろう……少し話をするぐらいで済んでくれ……。

そしてその向こうに、愛菜之のお母さんが、

「……あれ?」

愛菜之のお母さんは、いなかった。

「愛菜之。えと、お母さんは?」

「……なに、してるのかなぁ」

ひえー。怒ってるじゃないですか愛菜之さんが。早く帰ってきてくださいお母さん。

「急に呼んでおいて、晴我くんとの二人きりの時間を邪魔して……お母さんは、ほんとに……」

愛菜之は怒ると表情が無くなるのだが、今は正に無そのものだった。

それがいかに今怒っているかを如実に表していた。

こういう時の有効な手段を説明します。まず俺が甘えます。終わり。

なぜかは知らんが俺が甘えると機嫌がマシになる。マジでなんでだ。

「ま、愛菜之。今のうちにイチャイチャしたいなぁーと、俺は思ってるんですが……」

こういう言い方なら愛菜之も機嫌をいくらかなおしてくれるんじゃないか? 頼む、なおって!

「……」

無言で抱きついてきた。治ってくれ機嫌、と切に願いながらお互い抱きしめ合う。

てか可愛いな。なに無言って。可愛いな。


実を言うと、愛菜之の機嫌をなおすためにハグをしているわけじゃない。

俺の緊張をどうにか抑えるためにハグを提案した部分が大きかった。愛菜之はそれに気付いているかはわからないけれど。

……あったかい。

愛菜之の匂い、愛菜之の体温、愛菜之の感触。

俺の脈がドクドクと騒々しいものからトクントクンと穏やかなリズムに変わっていく。

愛菜之セラピーの効果は絶大だった。それは愛菜之も同様だったようで。

「……あったかいね」

腕を動かし、ぎゅっと抱きしめなおしてきた。

離したくないという意思表示のように、固く、きつく。




「私、買ったもの冷蔵庫に入れてくるね。晴我くんは座って待ってて」

「お、おう……」

二、三分ほどのハグの時間は終わり、俺は言われた通りソファに座る。借りてきた猫のように縮こまって愛菜之と愛菜之のお母さんの帰りを待つ。

ガサガサと物音がするほうを見ると愛菜之がせっせと冷蔵庫に食材を詰めていた。ていうか、冷蔵庫でかいな。

なにか手伝えることはないかと思ったが、人の家でうろちょろあれこれするのもどうかと思ったのでピシッと背筋を伸ばして大人しく座って待っていた。

……そういや、愛菜兎はどこにいるんだ?

この時間帯は友達と出かけているんだろうか。ただ、今いないのは幸だったと思う。おねぇちゃんを拉致るな! と襲いかかってきそうだし。拉致ってないけど。




うーん、手持ち無沙汰。スマホをいじるのもなんだか気がひけるし……。

「愛菜之、なにか手伝えることないか?」

そう声をかけると、ケトルでお湯を沸かしていた愛菜之は振り返って首を横に振った。

「晴我くんがケガしたら嫌だから、座って待ってて」

そんなふうに優しく言われたら大人しく座って待っとくしかないじゃない!

愛菜之がせっせとお茶の準備をしている間、愛菜之のお母さんと話すときのイメージトレーニングでもしとくか。

娘はやらんとか関係を認めないとか言われたらどうしよう……なんて言えばいいんだ。うーん……。

うんうん考えてはこれはダメだこの返しは面白みに欠けるだのと脳内会議を繰り広げる。

イメトレに夢中になっていると、机にことり、とマグカップが置かれた。カップにはアイラブユーと英語とハートマークが描かれていた。……用意したんですかね、このカップ。

「お茶、淹れたよ」

「ん。ああ、ありがとうな」

「あ、待って」

俺が飲もうと手を伸ばすと、愛菜之が先にカップを手に取り、ふぅふぅと何度か息を吹きかけた。

髪をかき上げ、唇をすぼめて息を吹きかける姿がどうにも色っぽく、そしてなんだか綺麗だった。

俺はそれに見惚れてしまい、その姿に胸が熱くなる。

「はい、どうぞ」

冷めた頃を見計らって俺にマグカップを渡してくる。

ハッ、と目覚める。

惚けていた自分が無性に恥ずかしく、それを隠すようにお茶をすすった。

お茶は、熱すぎずぬるすぎずのとてもちょうどいい温度で、頬の赤みを誤魔化すのには役に立たなかった。

「おいしい?」

「美味しいよ、ありがとうな」

カップを置き、礼を言いながら頭を撫でた。

嬉しそうに目を細めて、俺の手を受け入れている。

こうやって頭を撫でるのも、至極当たり前のようにしているが、常識的には異常なんだろう。

そんなこと、知らない。知ったこっちゃない。

愛菜之と触れ合えればそれでいい。それで十分だ。


「お熱いねー。今の若い子ってみんなそうなの?」

突然、俺と愛菜之以外の声がリビングの出入り口から聞こえた。

そこには、痩せ気味の綺麗な女性が腕組みをしながら薄く微笑んでいた。

「おかあさ……どこ行ってたの?」

言いかけて途中でやめていたが、愛菜之はお母さんと呼んだ。その女性がどうやら愛菜之のお母さんらしい。

ならお茶すすってる場合じゃねぇ!

慌てて立ち上がり、頭を下げて挨拶をした。

「あ、あの! お邪魔してます! えと、今のは……」

「んー大丈夫大丈夫。大体のことはわかるからさ」

いやなんで大体のことがわかるんだ。

愛菜之並みの観察力でも持っているのか。やっぱりDNAというものが大事なのかも、と一人考えていた。

あと恥ずかしい……イチャイチャしてるところを例え彼女の親だろうと見られるのは恥ずかしすぎる……いや、彼女の母親だからか?

「愛菜之からよく聞いてる。宇和神晴我くん、ね。愛菜之がお世話になってるね。どうもありがとう」

そう言って愛菜之母は頭をぺこりと下げた。さらりと長い黒髪が重力に沿って落ちる。ハッとしながら、俺はまた慌てて頭を下げた。

「いえ、そんな! どっちかっていうとお世話になってるのは俺っていうか……あのその、頭、上げてもらえませんか!?」

見た目は若々しいがその雰囲気からやっぱり大人なんだな、と感じた。それでその大人の人に頭を下げられるのはなんとも居心地が悪いというか。

恐縮っていうのはこういうことをいうのかもしれない。

「んーそっか。ごめんごめん。礼儀っていうかさ」

そう言って片手で謝りながら顔を上げる。ふぅ……安心。

「……挨拶はそれぐらいにして、お母さんはどこ行ってたの?」

「んー? ほら、コレ買ってきたんだよ」

手にかけていたビニール袋を掲げる。コンビニの袋だった。

「晴我くん甘いもの好きでしょ? 食べるかなーて思って、買ってきたんだ」

そう言ってにっこり笑うその顔は、どことなく愛菜之に似ていた。

声も、愛菜之の声が大人びたような音で少しドギマギする。

なんで俺が甘いもの好きなこと知ってるんだろう。愛菜之が話したか? まぁ、買ってきてもらえたのは素直にありがたい。

「……んー? おやま、買い忘れがある。愛菜之、ちょっとこれ買ってきてくんない?」

「お母さんが行ってきたら?」

「いやー疲れちゃったし、晴我くんとも話したいしさ」

なはは、と笑いながら愛菜之の手に自分のスマホを置いた。

「これ。このクーポン今日中に交換しないといけないのよー頼むよー」

「……もう」

子供っぽく怒りながら、愛菜之はそのスマホをパンツのポケットに入れた。

「ごめんね、晴我くん。少し行ってくるね」

「あ、ああ。いってらっしゃい……」

俺もついていこうと思ったが、愛菜之は一人で行くという雰囲気だったし、愛菜之母は俺と話したい、と言った時に俺と二人で話したいというニュアンスで話していた。

手を振る愛菜之に俺も手を振り返し、愛菜之は玄関から出て行く。

バタンと扉の閉まる音だけが愛菜之宅に響いた。

「さてと……晴我くん」

「あ、はい」

「座って座って。ケーキ、食べよ?」




プラスチックのフォークに刺さったケーキを口に運ぶ。うん、うまい。最近のコンビニスイーツは進行形で進化している。スポンジふわふわだしクリームはなめらかだし……まぁ、コンビニだから少し割高だけど、それでもその価値はあると思うぐらいには美味しい。プロも認めてるらしいし。

レビューはここまでにしといて、今だが。

愛菜之母と向かい合わせで座ってお茶会みたいなことをしてるのだが……。

まったくもっていたたまれない。愛菜之母の一つ一つ上品な整った仕草が、どうにもいたたまれなさを感じさせる。自分は場違いなんじゃないかと思わせるような美しい一挙手一投足に、違和感を覚えていた。

「どうかした?」

「あ、いえ……」

見過ぎだったようだ。じろじろ見るのも失礼だし、ケーキに集中しよう。

……うめぇ。

黙々とケーキを食べては感動していると、愛菜之母が紙にペンでなにかを書いていた。

それを俺の方へスッと移動させる。紙には、『普通にしてて』 と書かれていた。

普通にしてて……? よくわかんないんですけど……。

わけもわからない状態だが言う通りにすべきだろう。

別になにをするわけでもなくケーキにパクついていると、

「っ!?」

愛菜之母が抱きつくように俺の背中に手を回してきた。

甘くて、良い匂いがする。チラチラと谷間が見えて、見ないようにしたいが、不思議な力が谷間に目を向けさせようとしてくる。

「はいおっけー」

「あ、はい……」

ヒョイと離れて、また席に着いてケーキにパクつきだした。

心臓の音が徐々小さくなっていく。とりあえず一安心だ。あのままの状態でいたら心臓破裂しかねなかった。

「……あの、なにしてたんですか?」

遠慮がちに聞いてみるとケーキを頬張りながら机の上にアルミホイルで包まれたなにかを置いた。

モグモグゴクンと勢いよくケーキを飲み込むとアルミホイルを指差す。

「これねー盗聴機」

「え?」

「盗聴機」

なんでもないように言い、またケーキを幸せそうな顔で頬張る。

「えと、俺につけられてたんですかね?」

「うん」

愛菜之……お前って子は……。

恐らく、ていうか十中八九、愛菜之が付けたんだろう。別にいいけど、いつの間に付けたんだ……。

俺がやれやれ、みたいな顔していると愛菜之母はおかしそうにふふっ、と笑った。

「誰が付けたかわかってて、嫌がらないんだ」

「いや、まぁ……前にも似たようなことあったし……」

前、というのは愛菜兎と二人きりで話をしているときのことだ。あの後、俺の制服から転がり出たチップ状のものをネットで調べてみると、盗聴機だということがわかった。ほんとびっくり。値段はリーズナブルでした。使い捨てみたいなもんらしい。

愛菜之母は、へぇ、と少し驚いたように言い、お茶を啜る。

そんな些細な行動さえも整っていて、なんだか俺は地に足がついていない感じがした。

「アルミホイルで包んだのはそうすると繋がらなくなるんだ。盗聴機」

「へえー……」

それで、とニヤッと笑い頬杖をついた。

「どこまで進んでるのかな?」

「……それ聞くために盗聴機外したんですか」

「そそ。盗聴されたまんまじゃ、愛菜之が飛んで帰ってくるからねー」

いたずらが成功した子供のように笑う。その笑顔は、整った顔によく映えていた。

「で、どこまで行ったの?」

ワクワクしながら待っているが、そんなの俺の口から言えるわけないじゃない!

言ったら愛菜之が怒りそうだし、そもそも言えるわけない。

お宅の娘さんと体の関係も持ちましたなんて言えるわけないでしょうが!

「い、言えないです」

「うーん、そっかー」

苦し紛れにそう言うと、残念そうにお茶をちびりと飲む。いや、そんな残念なことなのか?

「じゃあキスは?」

「言えないって言いましたよ俺?」

「じゃあ手は繋いだ?」

「いえ、あの……」

「繋いだの?」

「繋ぎました……」

グイグイ来られて白状するしかなかった。押しに弱いんだな、俺って……。

「で、キスもしたんだ」

「え? なんで知って……」

俺、口を滑らしちゃった感じ? それなら愛菜之に合わす顔がない。どうしよう……切腹すっか?

「いや、カマかけただけだよ」

「……」

もうね、なにも言えませんよ。自分の浅さと、この強かなお母様には。

カマかけてまで聞きたいか? それが親心ってもんなんですかねぇ……。

「まー知ってたけど」

「え?」

今、なんと? 知ってたと? なのにわざわざ聞いたと? いい性格してますねお母様!?

「いやー愛菜之が幸せそうに晴我くんとうんたらこうたら事細かぁーに教えてくれるんだよね。教えてくれるって言うか日記に書いてあるんだよね」

「それを勝手に見てるんすね……」

俺の声が聞こえなかったフリをしながらまたお茶をずずっ、と啜る。そしてなぜか目を瞑って、二回ほど頷いた。なにかに納得したように。

「最近の愛菜之はね、すごく幸せそうにしててさ。なんでかなって思って色々と調べたのさ」

「色々と……」

母娘、同じようなやり方であれこれ調べるんだろうな……。有り体に言えば、ストーキング紛いのことだよな。まぁそれはこの際置いとくとして。

愛菜之母は目を瞑ったまま、なにかを思い出すように静かに、ゆっくりと話す。

「そしたら君ともう一度出会えて、挙句出会って直後に告白されて、いやしたのかな? まぁそれで、付き合うことになって」

……もう一度? いや、俺は愛菜之に昔、会ったことはないと思うが……。

気になっているとそれを知ってか知らずか、愛菜之母はふふっ、と笑って話を続けた。

「事故に遭って心配で心配で、目が覚めた君とキスをして、初デートの時にはもっと深くして。ひゅー、お熱いお熱い」

パタパタと手で顔を煽ぎながら俺をニヤニヤ笑いながらからかうように見つめる。顔を煽ぎたいのは俺なんですけどね……あっついことあついこと。暖房効きすぎじゃないかこのお家は。

「夏休みには、ホテルに泊まって一緒に大人の階段を登った」

「えっは! えほ、げほ」

もうすっかり冷たくなったお茶を飲んで一息つこうとしたところに、思いっきりボディブローをかましてきた。気管に入ったお茶が痛い。

「親としちゃあ注意すべきなんだろうけど、あんまり強く言えないんだよねー……」

「は、はぁ……えと、一応言っておくと俺から言い出したわけでは……」

「わかってるわかってる。やっぱ親子ってのは似るものなんだねー」

親子は似る……? もしや、愛菜之母も似たようなことをしたっていうのか……? それに強く言えないとも言っていたし……。

親子揃って重いとは、なんだか感心してしまう。

「避妊だけはちゃんとしなよー? そういうことするのは別にいいからさ」

「は、はい……」

こう、あけすけに言われると面食らってしまう。俺自身は避妊に気を遣ってはいるが、愛菜之があの手この手で邪魔してくるからなぁ……。

「今日も愛菜之をお持ち帰りするんでしょ? そんでそういうことするんじゃないの?」

「いや、俺はそういうつもりはないんですけど……ていうか、お持ち帰りって……」

「どっちかっていうと愛菜之にお持ち帰られるのかな? それなら娘をよろしくお願いします」

「止めないんですか……」

愛菜之母も昔は似たようなことをしたのかもしれない。それであんまり強く言えないんだろう。

勝手に推測を立てて現実逃避していると、そうだそうだ、と愛菜之母がパチパチ拍手しだした。

「今日、お誕生日なんだって? おめでとー」

「あ、ありがとうございます」

おお……面と向かっておめでとうと言ってくれた人が二人に増えた。なんかこう、ジーンとくるな。

素直に礼を言うとうん、と頷き、拍手をやめた。

「誕生日プレゼント、なんて言うとアレだけどー」

そしてさっきまでの笑顔を消して、スッと真剣な表情で告げた。

「愛菜之のお父さんのこと、知りたい?」




「……知りたい、です」

愛菜之が話せないこと、愛菜之の父親のこと。

愛菜之は心の準備ができていないから、まだ話せないと言っていた。俺もそれを良しとし、準備ができるまで待つと言った。


だから、俺は断る。

「知りたいけど、愛菜之の口から聞きます」

「……今聞かなくて、いいの?」

俺が断ったことに少し驚いているのか、綺麗な瞳が少し見開かれていた。

「約束したんで。愛菜之が話せるようになるまで待つって」

愛菜之との約束を破りたくない。そんなの、俺が耐えられない。愛菜之との関係にヒビが入るようなことは、したくない。

「ふーん……いい人捕まえたもんだねぇ愛菜之は」

そう言って和やかに笑って、ふぅと息を吐いた。

俺の母さんもいい人を捕まえたねぇと笑ったが全国のお母さん共通の反応なのか? これ。まぁ良い印象与えられたのならいいか。

「まぁ、話すけど」

「……え?」

長い髪の毛を指に巻きつけて遊びながら、笑顔で話す。

「私からしてみればそんな約束なんてしったこっちゃないしさー。それに」

笑顔が消える。表情の消えた顔は、とても綺麗だったのに、どこか怖くて目を逸らしそうになる。

「愛菜之は一生話せないだろうし」

「……え?」

一生、話すことなど出来ない。

今、確かに愛菜之の母はそう言った。

「まぁ一生っていうのは冗談。でも話せるようになるまではかなりかかると思うよ。だから今ここで聞かないと意味がない」

髪の毛の先を指でいじり、なんてことないように淡々と話す。

まるで小さいことのように聞こえるが、かなり、いや、とても重要なことを今話している、はずだ。

「……意味がないって、どういうことですか」

苦し紛れにそう聞く。ここでなにか一言でも発しておかないと、そのまま押し流されてしまいそうな気がした。

「君には、愛菜之の心の傷を治してもらいたいんだよね。そのためにも、今ここで聞いてもらわないと意味がない」

心の傷。

きっとそれは父親関連なのだろう。だからここで話を聞かせたい、治してもらいたい、というわけか。

けれど俺はカウンセラーでもなければ医者でもない。治すなんてことは、できない。できるはずがない。

「医者でもない君にこんなこと頼むのはお門違いかもしんないけどね。でも事実、君という存在はかなり心の傷を埋めてくれているんだよ」

だからお願い、と真剣な表情で、俺を真っ向から見つめる。それは、母として、娘を守る者としての表情だった。

「話を、聞いて。愛菜之を助けて」

一瞬の間、考えた。だけどそんなものが無意味になるほど強い考えが、思いが俺にはあった。

愛菜之を、助ける。

それなら、俺は。愛菜之のためなら。


「話を、聞かせてください」

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