第29話

「ハァ……ハァ……晴我くん…………」

泊まってる時に自分の鞄に入れておいた晴我くんの下着。

それを自分の鼻に押し当てながら、晴我くんの名前を呼び続ける。

「ひどいよ……あんなところでやめないでよぉ……」

晴我くんの匂いが、私を満たす。晴我くんの顔が、体が、声が、感触が、記憶から浮き出てくる。

「つらいよ……苦しいよ……」

晴我くんが珍しく自分から、激しいキスをしてくれた。少しびっくりしたけど、すぐにキスに応えた。でも、すぐに幸せは終わってしまった。晴我くんがキスをやめてしまった。

「私が、いけないの……?」

晴我くんは、お返しだって言っていた。

夏祭りの時、さすがにやりすぎたのかな。でも、晴我くんを感じたくて感じたくて、仕方がなかった。晴我くんも嫌がってるようには見えなかったし、そのままシてしまった。

手でも、口でも、胸でも、体のどんな部位でもしてあげたい。したい。ずっと繋がっていたい。

好きという感情が抑えられない。愛おしくて、愛おしくて、好きで好きで好きで。

「私が、いけないんだ……」

反省するから、我慢するから、お願いだから。こんな、こんないじわる、しないでほしい。

「晴我くん……」

私は、思い人の名前を口にしながら。

下腹部のあたりに、手を伸ばした。

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