緋彩、成人式 〜太陽〜
「か、変わったね綾瀬くん」
主に耳。
「いやそれ讃岐さんが言う?
中学の時眼鏡だったし黒髪だったじゃん」
「あー確かに......」
眼鏡は真面目に見られてしまうのが嫌で高校に入学してからコンタクトに変えた。
髪は......。
自分の赤く染まった髪を見る。
「でも似合ってるじゃん、その髪色。
派手すぎってわけでもないし」
「ソッソッカアリガトー」
男性に褒め慣れてないせいか顔に熱が集まる。赤くなってないといいんだけど。
私の反応を見て笑っている彼を見る。
「......っ」
綾瀬くんも似合ってるよ、そう言おうとしてやめた。
...恥ずかしさが勝って言えなかったのである。
「そういえば讃岐さん一人で来たの?」
「ううん、羽芽ちゃんと。
だけどついさっきはぐれてさ」
自分でそう言った直後にハッとする。
「そうだ電話!」
ボケっとしてる場合じゃなかった。私はスマホを見る。電話をしようとして慌てたものの、メッセージアプリに通知が入っている事に気付きメッセージアプリを開く。
メッセージを送って来たのは思った通り羽芽ちゃんで、内容は一人でいた所他の友達2人と会えたというもの。それから私の事を心配してくれていた。羽芽ちゃんは一見冷たそうだが実はそんなことはないのだ。
そんな彼女に綾瀬くんと遭遇した事を伝えると直ぐに既読がつき、何故か一番最初にニヤけたキャラクターのスタンプが送られてきた。なんでやねん。
頭の中がハテナで埋め尽くされていると次のメッセージが。この人の多さだからまた後で会おうと言うことだった。
...でも綾瀬くんにも都合があるのでは?
チラッと見ると彼もスマホをいじっていた。そう言えば、周りに彼の友達らしき人はいない。
「綾瀬くんは友達と来たんじゃないの?」
思い切って尋ねると彼は苦笑いした。
「あー...そうなんだけど俺もはぐれたんだよね、ついさっき」
「さっき?」
「うん、ていうか今って言った方がいいかな」
「...え」
私は瞬時にその意味を理解した。
きっと私のスマホを拾ってくれたからだ......!
「ごめん!」
ガバッと頭を下げる。
「ちょちょ、そんな頭下げないでいいよ!
俺が気になって拾ったんだし!」
「そうは言っても......」
「お互いはぐれたんだし、このまま行こうよ」
そう言って綾瀬くんが指差したのは私達の母校である柏岐中学校と書かれたプレートのようなもの。そこには沢山の人が既に席に着いていた。おそらくあの人達は同級生達だろう。
「どっちにしろあそこに行けば会えるって」
「...うん」
やっぱり綾瀬くんは優しい。
「あ、そうだ讃岐さん
連絡先教えてよ」
見た目が変わっていても中身はあの時の。
...私が好きな彼だった。
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