第110話 2人のこれから


 楓が日菜の格好登校して来たことには驚いたが、しばらくすると日菜の格好をしている楓も意外と違和感無く今まで通り普通に過ごしていた。


 終業式を終え、俺はと祐奈は2人で付き合って初めてのデートに行く事にした。


 初めてのデートでどこに行くかを祐奈に問いかけるが、祐奈は「そんなの決まってるじゃないですか」といわんばかりの顔でこちらを見つめる。


 俺たちは賛同一致である場所へ向かった。


「やっぱりここが一番落ち着きますね」

「間違いない。ここは俺たちの始まりの地だからな」


 そう、俺たちはいつも俺と祐奈がきているヤイゼリヤに来ていた。


 俺たちはオタク友達になってから初めてのオタトークをここでしたんだ。


 少し前の出来事のような気がするが、出会ってから半年以上が経過していると考えると人生早いもんだ。


「ちょっと気恥ずかしいですね。私たちもう付き合ってるんですもんね」

「やめろやめろ。意識したら俺も普通じゃいられなくなりそうだから……」

「なんで普通じゃいられなくなりそうなんですか?」

「言わせるなよそんなこと」

「えぇ良いじゃないですかぁ。どうして普通じゃいられないんですか? なんか目も泳いでますよ?」


 こ、こいつ。今まで普通の友達として付き合って来た時は知らなかったが意外といたずら好きというか、俺をおちょくるのが好きなようだ。


「が、可愛くて直視出来ないから」

「ふふっ。そうですかそうですか」


 満足げにニマーッと笑う祐奈の笑顔は俺が今まで見たことのない笑顔だった。


 おちょくられてはいるが祐奈の知らない一面を知ることができたことと、これから俺が知らない祐奈をたくさん知っていけるのだと考えると嬉しくてたまらなかった。


「明日から冬休みですね」

「そうだな。夏休みよりは短いけどゆっくり出来そうだ」


 いや待てよ? 冬休みになるってことは毎日祐奈に会うことが出来なくなるってことか⁉︎


 学校に登校していれば自ずと毎日のように祐奈に会えるが、冬休みになれば学校には行かなくなるし祐奈には会えなくなってしまう。


 そう考えると長期連休は俺にとって天敵なのかもしれないな……。


「祐奈に毎日学校で会うことは出来なくなるってことか……」

「それなら冬休みもたくさん遊びましょう‼︎ 私も出来れば祐くんにたくさん会いたいですし」


 若干恥ずかしそうにそう言う祐奈は女神だと思った。


 毎日では無いにしろ、祐奈の方からたくさん遊ぼうと誘ってくれたのは嬉しい。


「じゃあ今から予定たてるか」

「はい!! 楽しい冬休みになりそうです」


 無邪気に笑う祐奈を見て、今日から始まる冬休みに大きな期待を持つことが出来た。


 その後もヤイゼリヤで俺と祐奈は付き合ってから初めてのデートを存分に楽しんだ。




 ◆◆◆




 祐奈との会話が楽しすぎてヤイゼリヤに到着した時には明るかった空はすっかり暗くなってしまった。


「祐奈、ちょっと一緒に来てくれないか?」

「わかりました。どこか行くんですか?」

「ああ。ちょっとな」


 そう言って俺は祐奈をヤイゼリヤから連れ出した。

 どうしても祐奈を連れて行きたい場所があったからだ。

 その場所はヤイゼリヤから徒歩5分ほどの場所にある。


 俺がやってきたのはショッピングモール。


「何か買いたいものでもあるんですか?」

「良いから良いから。とりあえずついて来てくれ」


 祐奈には目的を告げず、俺は目的の場所の到着した。


「うわぁ。綺麗」


 俺はショッピングモールの裏にあるベンチがある小さい休憩スペースに祐奈を連れてきた。


 このショッピングモールは小高い丘の上にあり、この休憩スペースからは街の夜景が楽しめる。


「私今までこの街に住んでてこんな場所知りませんでした」

「ああ。キザなことをするつもりはないけど風磨と遊んでる時にたまたま見つけた場所で、彼女が出来たら一緒に来たいなって思ってたんだ」

「……ありがとうございます。その彼女が私でよかったです」


 そう言って笑顔を見せる祐奈。その笑顔を見て満足げになり俺は夜景を見つめる。


「祐くん……」


 祐奈に名前を呼ばれ、祐奈の方を向く。


 その時、唇に暖かく柔らかい感触を感じた。


 祐奈の唇が俺の唇に触れていたのだ。


 電灯のほのかな灯に照らされ、祐奈の顔は真っ赤に染まったように見えた。

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Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。 穂村大樹(ほむら だいじゅ) @homhom_d

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