第8話 儲かる予感

 受付に戻る前に、依頼が張り出されている掲示板に目を通してみた。


 Fランクで今受けられるのは、採集が二件、狩猟が四件、清掃が五件、調査が七件、その他雑用が六件。

 依頼の種類はいろいろあるようだが一件ずつ受けてみるか。




 受付に着くと、アリスに伝票を渡した。


「よろしく」

「どういうこと? ……ゴブリン……キング?」


 彼女は伝票を見て、小声でつぶやいた。


なにかダメだったか?」

「いえ、ちょっと驚いただけよ。それに、随分とあのレインさんと仲良くなったのね」

「親切にはしてくれたな。どうしてそう思うんだ?」

「『そいつはきっと大物になるから、いや既にそうなのかもしれないが、なにがあっても驚かず、変に目立たせないよう配慮してやれ』ってメモが書いてある」

「それは光栄だね」


「では、このギルドから支払われるお金を確認して、よければ受け取りの印をここに――」

「こうか?」


 俺は金を確認してIDカードを書類にかざした。

 伝票に書いてあったとおり、二千ドルの収入を得た。

 本当にこんなもので稼げるとは。

 冒険者ってもうかりそうだな。


「ありがとう。私から説明する必要はないみたいね」


 彼女はレインも使っていた道具で俺の印を付けた。


「ところで、この依頼を受けてみようと思う」


 掲示板から取ってきた五種類の依頼書を渡した。


「いきなり、こんなに……と、言いたいところだけど、驚いたらダメだったのよね」

「レインには感謝しておかないとな」

「でも、いい? Fランクなら、厳しいものは無いと思うけど、引き受けたからには期日を過ぎたり失敗したりしないように。場合によってはペナルティが科せられるから気を付けて。依頼の条件をよく見ておいてね」


「狩猟の<デリシャスラビット 生け捕り 五匹以上>という依頼は期日が早いな」

「どれどれ、……ほんとだ。無性に食べたくなったのか、お祝い事でもあるのかしら」


 この後、それぞれの依頼について、彼女からアドバイスをもらった。

 基本的には依頼書に詳細が記されていて、間違いのないように図も記載されることも多いらしい。

 俺が選んだ採集と狩猟と調査の三つの依頼については図が記されていた。


 そろそろ日も暮れてくるので、また明日から頑張るように応援されたが、しばらくは不眠不休で活動するつもりだ。


 俺は睡眠・食事が不要な存在となっている。

 人間らしさや娯楽の一環として適度にするつもりだが、金が貯まるまでは節約だ。


 ちなみに大富豪も実現させたい内容の一つである。


 ギルドを後にし、アリスに教えてもらっていたよろず屋へと向かった。

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