都合が良すぎる彼女と聞いて、可愛い女の子から急にモテちゃったリア充な話かな? と思ったあなたは、間違ってないし、間違ってます。
冒頭で皆さんの予想通り、主人公は可愛い女の子と付き合うことになります。
でも、主人公がその状況に自ら『都合が良すぎる』と感じるので、読んでるこちらも「そうだよね~」って、都合が良すぎて嫉妬しそうだった気持ちを解消!
って、そんな事を考えてたら主人公の女友達から衝撃発言が飛び出し、私は思わずこの小説のトップページを確認しに行きました。
トップページのジャンル選択欄には『SF』の文字がッ!
そう、これはラブコメではなくSFジャンルの小説だったのです!
そして、この後何度も私は「ええ! そうなの?」を繰り返すことに……
……面白かったです。
どんでん返しな展開がお好きな人におススメです☆
校内屈指の美少女石長・穂希に屋上に呼び出されそのまま告白された、臼杵・翔太。これは間違いなくイタズラか何かだと確信しその場を猛ダッシュで逃亡。しかし、どうやら本気の告白だったようで、彼女と本格的にお付き合いすることに。
お昼にはお弁当を作ってきてくれるし、自身のトラウマには優しい言葉をかけてくれるし、下校時には校門前で待っていてくれる理想的な彼女だ。かくして始まるラブコメな日々。こんな可愛い彼女ができたんだから、空に謎の裂け目が見えたり、怪しい黒服に尾行されてたり、世界が破滅するかもしれないなんてことはどうでもいいだろう!
……などと能天気に言えるはずもなく、彼女と世界を巡る危機的な状況に巻き込まれてしまう。世界を襲う奇妙な事象、臼杵の過去、各登場人物の意味ありげな言動、石長さんの数々の秘密など様々な要素が幾重にも絡み合ったストーリーは、全ての伏線を回収してラストにたどり着く。
読み終えた後には、読者の脳裏に鮮やかな青空の印象を残す、気持ちのいい青春SFだ。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)