第4章 『正体を隠す人達の様々な疑惑』  全20話。その20。

            20。



 時刻は十二時三十八分。


 あの大惨事が起きたデパート内での大量殺人事件からもう既に一週間が過ぎようとしていたそんな昼時、大々的に今もあの事件を報道するテレビの前で勘太郎は新聞を読みながら椅子に座り静かにくつろいでいた。そんな勘太郎の横に両手に大きなマグカップを持った羊野が何か意味ありげに和やかに近づく。

 体の痛みとあの悪魔の水瓶に不覚を取った負い目からか二日前まではかなり不機嫌のようだったが、今はだいぶ打ち身の具合が直ってきたのか(インスタントだが)コーヒーを淹れて進めてくれる状態まで体の痛みも機嫌も回復したようだ。

 まだ日中だと言うのに一日中カーテンがしまった事務所の中で勘太郎と羊野は、付けっぱなしになっているテレビの電源を消しながら一週間前に起きたあのデパート内での事件の経過を話し合う。


 そんな二人が探偵として働いているこの事務所こそが彼らの住まい&仕事場でもあり、共同の生活の場所だ。そしてその証拠を示すかのように外の二階に見える大きな立て看板にはここの探偵事務所の名前がでかでかと張り出されていた。


 その名も黒鉄探偵事務所。


 そんな馴染み深い探偵事務所のオフィスで勘太郎は羊野が淹れてくれたコーヒーを受け取りながらこれまでの事件の経過を聞く。


「あれから一週間は経つが、病院に救急搬送されたあの海月リク君はその後はどうなったんだ。緑川の方は病院から二日で退院したようだが、あのとらわれの身になっていた少年のことは俺はまだ聞いてはいないんだが?」


「警察筋の話では昨日無事に退院したらしいですよ。取り敢えずは何処かの子供施設でお預かりするとの事です。でも母親の海月光子さんの方はその後は直ぐに取り調べを受けて、犯人隠匿、そして共謀罪が適応されて今は留置所の中ですが、主犯格でもあった梅塚幸子さんに脅されて仕方なく行った犯行なので、情状酌量で恐らくはかなり軽い判決になると思いますよ。それに人は誰も殺してはいないみたいですから、弁護士の腕次第では刑務所から出所するのもかなり早いのではないでしょうか」


「そう願いたい物だね。海月光子さんは梅塚幸子に子供を誘拐され脅されて、その結果仕方なく犯行に加担しただけだからな」


「まあ梅塚幸子さんが関わる海月光子さんが巻き込まれた事件の方は一応は解決した事ですし、後は時間が解決してくれる事でしょう」


「それで、もう一つの事件とも言うべき、六階の荷物倉庫付近の廊下でお前を不意打ちで襲い、その後はデパートの屋上の貯水槽付近で俺を襲ったあの悪魔の水瓶の正体とその行方の方はまだ分からないのか。その後の逃走経路から奴に繋がる糸口が見つかるかも知れないと思ったんだが」


「赤城文子刑事の話では悪魔の水瓶が逃げ去った逃走経路は未だに見つかってはいないとの事です」


「だが相手は円卓の星座の狂人・悪魔の水瓶の事だ、俺達がまだ知らない逃走ルートがもしかしたらあるんじゃないのか。なにせあの屋上には野良猫だって無理をしたら入れるみたいだからな。何処かに人が逃げられる死角があるのかも知れない」


「そうかも知れませんが、もしかしたらそうじゃないのかも知れません。まあ私としては、あの悪魔の水瓶がこのデパートから外に逃走したのではなく、あくまでもあのデパート内に始めからいた人物が怪しいと考えます」


「お前がず~と言っている、内部の犯人説か」


「あの時私達の前にその姿を現したあの悪魔の水瓶を目撃した人間は、私と関根孝さんと黒鉄さんの三人だけですから、それ以外の生存者達は皆全て怪しいと言う事になります」


「後あの貯水槽に閉じ込められていた緑川章子と海月リク君も違うみたいだな。だとすると脅されて梅塚幸子に協力していた海月光子さんと元々のターゲットだった西条貴文社長は除外するとして、五階フロアー付近にいた、木戸警備員、長瀬警備員、水谷里子、そして甕島佳子の四人が最も怪しいと言う事になるが、彼らにはいずれも未だにアリバイがなくあの時の各々の行動を立証する事ができなかったんだよな。だからこそ羊野、お前はあの四人の中にあの悪魔の水瓶に繋がる犯人がいると考えているのか」


「はい、その可能性は十分にあると思いますよ。なにせこの私や黒鉄さんが襲われたあの時間に、各々が一人で別行動をしていたのはこの四人くらいですからね。それにこの四人にはみんなアリバイがありませんから」


「アリバイがない……確かにそうだったな。それで、あれから今現在まで行方不明になっている二人の行方は見つかったのか?」


「いいえ、残念ながら見つかってはいません。警察は引き続き彼らの行方を目下捜索中との事ですが、恐らくは見つからないでしょう」


「なぜだ?」


「私の考えでは、あの今も行方不明となっている二人は円卓の星座に関わる工作員の可能性が非常に高いからです」


「工作員か……なるほどな。円卓の星座の創設者にしてトリックによる完全犯罪を誰よりも渇望している狂人達の親玉、狂人・壊れた天秤。その上司に金で雇われその忠誠を誓う裏の工作員達の一部が……あの二人と言う訳か。まあ、にわかには信じられない話だがな」


「水谷里子さんに長瀬洋平警備員……私の考えではこの二人は間違いなくあの円卓の星座側に雇われた裏方の工作部隊だと思われますわ」


「工作部隊って一体何だよ。円卓の星座の狂人は本来は一人で行動するもんじゃ無いのかよ」


「確かに基本は一人なのですが、今回の狂人のように大掛かりな仕掛けが必要とした時はこの陰の工作部隊達が動いて、仕掛けを施していくんですよ。彼らの仕事は主にそれだけですからとくに事件の表舞台には絶対に関わらないのがセオリーなのですが……」


「本来は関わらない奴らがなんであのデパート内にいたんだよ。まさかその工作員の中にあの悪魔の水瓶がいたのか?」


「違います。恐らくはただ純粋にあの場から逃げ遅れただけだと思いますよ」


「逃げ遅れた……あの水谷里子さんと長瀬洋平警備員がか?」


 ほんとかよと言うような疑惑の目を向ける勘太郎に対し羊野は自分の憶測を惜しげも無く語り出す。


「だって今回のデパート内での監禁と封鎖、なにか可笑しいとは思いませんか」


「可笑しいって何がだよ」


「最初のデパート内での火災によるボヤ騒ぎであのデパート内にいた沢山の一般のお客さん達や従業員達がみんなあのデパートから一斉に閉め出されましたよね」


「ああ、そうだな。でも結局はあれは犯人が流した誤報で、邪魔な一般人達を締め出し、まんまと各フロアーに閉じ込める事に成功した西条ケミカル化学会社に関わりのある幹部達をまとめて殺す為だったんだよな。しかも一緒に不幸にも閉じ込められた罪のない普通の一般客をも巻き込んで無差別に殺戮をし始めた。そうだよな。大体最初の狂人ゲームのルールでは、悪魔の水瓶の方は西条ケミカル化学会社の幹部の顔は知らないと言うのがルールの規定に入っていたんじゃ無かったのかよ」


「ええ、この狂人ゲームは当初の段取りでは海月光子さんが悪魔の水瓶になって梅塚幸子さんが陰から誘導してターゲットを襲うゲームのはずだったと思われますが、先にそのルールを破って暴走した梅塚幸子さんが最初の一時間でかなりの数の人を殺害してしまいましたからね。完全なルール違反ですよ」


「ああ、木戸警備員と長瀬警備員が最初に二階フロアーで遭遇したと言うあの悪魔の水瓶か。あの正体は梅塚幸子だったんだよな。じゃなんでその仲間でもあるはずの長瀬警備員が襲われているんだよ?」


「さっきも言ったように長瀬警備員と水谷里子さんは逃げ遅れたんですよ。本来の彼らの仕事は、人が誰もいなくなったデパート内の出入り口全てのドアや扉に鎖を巻き、錠前をつけて誰も逃げられないように細工をするのが彼らの役目だったはずです」


「細工をする役目の人か」


「そう言う事です。ある程度の数の実行犯がいなければ、このデパート内にある全ての出入り口を封鎖し鎖と錠前で固定する事はまず叶いませんからね。おそらく他の工作員達はみんなあの火災騒ぎに便乗して、一般の人達を助ける振りをして誘導しながら無事に外に逃げられたのでしょうが、でも不幸にも長瀬警備員は同僚の木戸警備員に出会ってしまった事で逃げるチャンスを失い。水谷里子さんの方は梅塚幸子さんが扮した水瓶人間に追いかけ回されてデパート内からの脱出を阻まれた……そんな所でしょうか」


「水谷里子と長瀬警備員はもしかしたらお互いに分担して人がいなくなったデパート内で鎖や錠前を取り付ける作業にいそしんでいたのかも知れないが、梅塚幸子の方は円卓の星座の工作員の存在は恐らくは知らなかっただろうから、デパート内に取り残された不幸な警備員や一般客に見えたのかも知れないな。だから彼らは問答無用で襲われたんだ。そう言うことか。でも彼らが円卓の星座側の工作員かも知れないと言う、何か明確な証拠はあるのか」


「ええ、ありますよ。それを今から一人一人説明して行きますね」


 羊野瞑子が、一週間前に事件が起きた、あのデパート内の五階フロアー付近にいたアリバイのない人達の推理をする。



「一人目の容疑者はこのデパートの警備のアルバイトをしていた長瀬洋平警備員です」


「彼はそんな名前だったのか」


「背の高い二十代後半の長瀬警備員は二ヶ月前に臨時のバイトで入った警備員のようですが、彼の出した履歴書も戸籍も全ての情報が全て嘘でした」


「嘘でしたって、何が嘘なんだよ」


「文字通り全てがです。住所や電話番号はもちろんの事、その氏名までもが全て嘘で塗り固められていました」


「全てがか。じゃ水谷里子の方はどうなんだ」


「二人目の容疑者、水谷里子。彼女は三ヶ月前にあのデパートの五階フロアーにある竹内書店でバイトとして働いていたそうです。そこでたまたま出会った甕島佳子さんとはかなり仲がいいとの話でした。そしてそんな彼女の名前や名字も当然本物ではなかったようです」


「長瀬警備員と同じように全てが嘘か」


「はい、氏名・住所・電話番号と全てが嘘でした。そしてこの2名はいずれも、狂人ゲームのタイムリミットの終了と共に、警察関係者を誘導する素振りをみせながら突然とそのデパートの入り口からその姿を消しています。その時の映像をあのデパート内一階フロアーに設置していた監視カメラがバッチリと二人が静かに逃走する姿を映していましたわ。そしてその全ての錠前にはあの二人の指紋が多重指紋となってハッキリと残っていましたわ」


「勿論警察関係者や俺達もその錠前には触ったが、その指紋が重ね合わさった一番最初に触っていた人物の指紋があの二人だったとそう言う事だな。だからお前はあの鎖や錠前を細工したのは長瀬洋平警備員と水谷里子でまず間違いはないと思った訳だな」


「はい、そう言うことです。でもこれには円卓の星座が関わっていますから、あの二人の関与はもしかしたら闇に葬られるかも知れませんね。円卓の星座に関わる事件では逮捕は秘密裏に行われますからね。だとしたらあの二人は私達の知らないところで秘密裏に警察に捕まるか……或いは円卓の星座の組織に消されるか……ですわ」


「顔はばれているからな、その可能性は高いか」


「後水谷里子さんが五階フロアーで見たと言っていた、海月リク君らしき子供が水瓶人間に連れられて無理矢理何処かに連れて行かれたと言う証言なのですが、あれは水谷里子さんがついた嘘だと言う事が分かりました」


「なんだって、あの証言は嘘だったのか。あの電話での情報で甕島佳子さんは五階へと動くことになったんだぞ。助けを呼ぶ友人と水瓶人間に何処かに連れて行かれた子供の危機を聞いてな」


「そう証言をしてくれたのは梅塚幸子さんにデパート内に連れて行かれた海月リク君がそう話してくれたそうです」


「海月リク君がそう話したのか。だがその子はまだ六歳なんだろう。その証言は何処まで信用できるんだ。なにせ子供が言っている事だからな」


「ごく簡単な質問をしただけですから信憑性はあると思いますよ。海月リク君は五階フロアーに何回入ったか、と言う簡単な質問をしました。水谷里子さんが海月リク君らしき少年を見たと言っていたのは狂人ゲームが始まった中での五階フロアー内でしたが。海月リク君が梅塚幸子さんに連れられて屋上に行ったのは狂人ゲームが始まる前ですからその後は五階フロアーには一度も降りてはいないのですよ」


「じゃそれまで海月リク君は一体どこにいたんだ。まさか狂人ゲームが始まり~その後に終わる八時間前からず~とあの貯水槽の真水に浸かっていた訳ではないだろう」


「勿論です。その答えは病院から無事に退院した緑川章子さんが教えてくれましたよ。狂人ゲームが始まり、緑川さんが水瓶人間の疑いで三階フロアーの荷物倉庫に閉じ込められていた時、梅塚幸子さんの悲鳴で彼女の危機だと勘違いした緑川さんは直ぐに梅塚幸子さんと西条社長の元に向かったらしいのですが、西条社長を縛り上げる梅塚幸子さんとその隣にいる水瓶人間の姿を見て、彼女は咄嗟に物陰に隠れたそうです。そしてその時に梅塚幸子さんがこの事件の黒幕だと分かったそうです。その後、梅塚幸子さんの口から海月リク君の居場所を示す言葉を聞いた緑川さんは思い当たる水に繋がる場所を瞬時に想像し、その事を素早くスマホで黒鉄探偵事務所のホームページを開いて、日記書き込み蘭に文章でその証拠を残したそうです。本当はこの事を電話かチャットかツイッターかメールで知らせたかったらしいのですが。電話は緑川さんが隠れている一から声が出せる位置まで誰にも気付かれる事無く移動しないといけなかったらしいですし。その場でひそひそと声をだして話たら間違いなく犯人に見つかるリスクが高いと判断したらしいので黒鉄探偵事務所のホームページに証拠となる文章を残そうとしたそうです。自分がその場にいないと知ったら必ず黒鉄さんならこのホームページの事を思い出すだろうからと言っていましたよ」


「チャットやツイッターやメールでも良かったんじゃないのか?」


「黒鉄さんの3Gの一世代遅れた折りたたみ式の柄系の携帯電話では、チャットやツイッターは出来ないでしょ。それ以前にそれらが出来るように契約や登録もしてはいませんよね」


「確かに……そうだな」


「私もとくに連絡を交わす相手がいませんのでメールくらいしか特にやってはいません。アプリに登録もしてはいませんからね。なので緑川さんもチャットやツイッターでは私達に連絡は出来なかったのだと思いますよ」


「まあ、お前には元々友達はいないからな。それは仕方がないか」


「すいません、足が滑りました」


 そう言いながら羊野の足の爪先が勘太郎の足の脛を蹴り上げる。


 ドカッ!


「い、痛てえな。なんだよ。ちくしょう!」


「いいから話を続けて下さい。黒鉄さん」


「まあ、緑川は警視庁捜査一課、特殊班の刑事達とはそんなに面識はないからな。恐らくはメールのアドレスはおろか電話番号も知らないだろうしな。だからこそ誰にも連絡は出来なかったのだと思うぜ。でもメールは使えたはずだよな。なぜメールで俺達にこの事を知らせなかったんだ?」


「緑川さんの話では、あの場で黒鉄さんか私に梅塚幸子さんの事や海月リク君の事をメールで送ったら、その数秒後に必ず折り返しのメールか電話の着信音が返ってくるのは明白でしたので、その音で自分の存在がバレるのを恐れた緑川さんはホームページでの書き込みに全てを掛けたのだと言っていましたよ。でも書き込みをした直ぐ後に梅塚幸子さんに隠れていた位置がバレてしまい、逃げる際に運悪くスマホを落としていくことになってしまいましたがね」


「そうだな、あいつも生きた心地がしなかっただろうな」


「二階にいた生存者達を連れて地下一階に戻った時に甕島佳子さんの母親の甕島直美さんから借りた社員専用の鍵を使い、隠し階段から素早く別の階に移動する事が出来た緑川さんは、何とか私達と合流したかったと言っていましたが、後犯人の仲間がどれだけいるのか分からないので無闇に合流する事は出来なかったと言っていました」


「え、なぜだ。普通に俺達と合流して緑川の奴が見聞きした事を話したらいいじゃないか」


「その話を他の生存者達は先ず信じないと思ったからこそ敢えて別行動をしたのではないでしょうか。現に彼女はあの三階フロアーに閉じ込められていましたからね」


「まあ、そうなんだがな」


「自分は水瓶人間の疑いを掛けられていたので、このままみんなの前に現れて梅塚幸子さんが真の犯人だと主張しても誰も信じてはくれないと思ったそうです。なので、みんなから身を隠して一人で犯人の証拠を見つけてついでに海月リク君の行方を捜す事にしたのだと言っていました」


「そして最後に、屋上にある、あの貯水槽に行き当たったと言う事か」


「はい、そう言う事です。あの貯水槽にもしかしたら海月リク君がいるかも知れないと思った緑川さんは思い切って貯水槽の上蓋を外したそうですが、それと同時に海月リク君を縛っていた一本のロープが外れて。そのまま海月リク君は貯水槽の真水の中に落ちていったそうです。その事に焦った緑川さんもまた咄嗟にその貯水槽の真水の中に飛び込んだのだと言っていました」


「つまりその貯水槽の上蓋を緑川が開けてしまった事で、空中に吊されていた海月リク君を縛っていたロープが外れて、そのまま貯水槽の真水の中に落ちてしまったと言う事か」


「恐らくはそんな仕掛けが施されていたのだと思いますよ。梅塚幸子さんの計画では全てが終わった後でお子さんに会わせると言って海月光子さんを貯水槽の上蓋の前に連れて行って母親の手で自分の息子を死なす落ちを考えていたのだと思いますよ。そこに母親も当然子供を助けるために飛び降りますから、二人の親子の謎の溺死体が出来上がると言う訳です」


「血も涙もない、まるで鬼畜のような所業だな。そのトラップの封印を最初に緑川の奴が解いてしまった。つまりはそう言う事だな。だから緑川はあの時海月リク君と一緒に貯水槽の中にいたんだ。じゃなんで水谷里子さんは甕島佳子さんに海月リク君を五階フロアーで見たなんて嘘を言ったんだ。この狂人ゲームのルールを壊す事になるかも知れないのに」


「簡単な事ですよ。梅塚幸子さんは明らかに狂人ゲームのルールを最初から破っていますからね。だから水谷里子さんは最小限のギリギリのヒントを出して、海月リク君はこのデパート内の何処かにいることをワザと知らせたのですよ。このままでは逃げ遅れた自分の命も危ないし、なにより梅塚幸子さんの殺しのやり口はやり過ぎだと感じたからでしょうね」


「やり過ぎか。一体梅塚幸子はどんなルール違反を犯したんだ?」


「一つ目の違反は、依頼人の立場を忘れて殺しの実行役に転じたことです」


「狂人ゲームが始まったその一時間の間に六階から~二階まで数多くの人間を殺しに殺したからな。もう数え切れないほどにな」


「二つ目のルール違反は、自分が殺す側になった事で、西条ケミカル化学会社の幹部達を容易に探し出して殺せるようになった点です。本来のルールでは、西条ケミカル化学会社の幹部達の顔を殆ど知らない海月光子さんが水瓶人間となって彼女に西条ケミカル化学会社の幹部達を探させると言うのが本当の趣旨だったのでしょうが、梅塚幸子さんが見つけ出して先に殺してしまった。彼女は自分の息子を死に追いやったとされる幹部達の素性は既に調べ、顔は穴が空くくらいに見ていたでしょうから、あの一般人の中から幹部達を探し出すのは簡単だったと思われます」


「だったら……だったら……この件に一切関わりの無い一般人まで殺さなくても良かったんじゃないのか? 誰が西条ケミカル化学会社の幹部達か知らないと言うハンデがあったからこそ、あの悪魔の水瓶は一般人を殺してしまうかも知れないと言う事じゃなかったのか」


「はい、そこが三番目のルール違反の点です。彼女は西条ケミカル化学会社の幹部ではないと知っていてわざと殺していたんですよ。しかも残忍に、冷酷に、面白半分に。大体西条ケミカル化学会社の幹部達も一般のお客さん達も関係なく無差別に殺し回ったら狂人ゲームが成立しませんからね。本来の狂人ゲームでは梅塚幸子さんが我々生存者側と共に行動して。隙を見て海月光子さんに連絡をし。その指示で西条ケミカル化学会社の幹部達を探し出すと言うのが本来の正しいルールです。でもその三つのルールを破ってしまった。でも流石にやばいと思ったのか、私達が現れるその前にはちゃっかりと被害者として二階フロアーに来ていましたけどね」


「だからこそその現状を見た水谷里子さんが海月リク君の存在を、親しい知り合いになっていた甕島佳子さんに知らせたのか。その話が俺達の耳にも伝わると信じて」


「でもついでにあの馬鹿女……じゃなかった。あの甕島佳子さんも共に同行する羽目になってしまいましたけどね」


「そうだな。でもお前は一階にある警備室で監視カメラの記録を一応はチェックしたんだよな。ならその段階で水谷里子と長瀬警備員の二人がデパート内の全ての出入り口を封鎖した張本人だと分かっていたんじゃないのか?」


「私も最初はそう思ってモニターに映る録画記録を調べて見たのですが、その鎖で施錠した人物は黒いコートとフードを深く被っていて顔は見えてはいませんでした。なので一週間前のあの段階では彼らの犯行だとは分からなかったのですよ」


「なるほどな、確かにそれならわからないか。一週間前のあの段階では、正体の分からない誰かを犯人だと決めつける事は流石に出来ないからな」


「ええ、みんな疑心暗鬼になって、罪のなすりあいの水掛け論になっていたかも知れませんね」


「それにしてもだ、あの壊れた天秤がまさか梅塚幸子さんの暴走を予測できなかったとはな。流石の策士も彼女の暴走は予想外だったのかな?」


「いいえ、こうなることはもしかしたら壊れた天秤は最初から知っていたのかも知れませんよ」


「何だって、何故そう思うんだ?」


「梅塚幸子さんが五年前にお子さんを失ったことで精神科に通うくらいに精神を酷く病んでいる事は勿論壊れた天秤も知ってはいたでしょうからね。私の推測では、二週間前に起きたあの別荘で、ターゲット達を無慈悲に襲う悪魔の水瓶の殺しの所業を見た梅塚幸子さんは、その事で自分の中の心の中にある理性と言う名のリミッターが完全に壊れたのではないでしょうか。その事に気付いた壊れた天秤が、この狂人ゲームを敢えて持ちかけたのですよ。こうなるかも知れないことは分かっていて敢えてね」


「なんで壊れた天秤はこんな転回になるのを予測しながら敢えて放置したんだよ」


「勿論この状況を記録し、そして観察する為です」


「それだけのために罪のない多くの人が犠牲になり、そして大惨事になったのかよ。くそぉぉ、壊れた天秤の奴、許せないぜ!」


「それが壊れた天秤ですから。あのクソじじいは本当にいかれているんですよ」


「その殺しに転じた梅塚幸子は西条ケミカル化学会社の幹部達の顔をみんな知っていたらしいが、海月光子さんの方も知っていたんじゃないのか。一週間前はその旦那の上司の別荘にお手伝いに行くくらいだからな。当然何人かの幹部達の顔だってしっていたんじゃないのか」


「まあ、知っている顔も知らない顔も恐らくはあるのでしょうが、彼女の場合そんなのはどうだっていいのですよ。その事で彼女が悩み苦しみ、これから犯す罪と恐怖と理性の中で最後にどのような決断を下すのかが、あの壊れた天秤が最も見たかった物でしょうから」


「全く悪趣味な爺さんだぜ!」


 そう吐き捨てる勘太郎を見ながら、羊野が再度話を続ける。


「次は大柄なおじさんとしての印象が高い木戸警備員です。まあ、彼に関しては狂人ゲームが終わっても最後までデパート内に残り、警察の事情聴取を素直に受けていましたからね。それにとくに怪しい所もありませんでした。このデパートの警備員歴は十年と言っていましたから、そんなに長く円卓の星座の工作員がその場にいるはずも無いですし、何より履歴書も戸籍も偽ってはいませんでした」


「そうか、なら次は、この狂人ゲームのターゲットであり。そして辛くも何とか生き残った西条ケミカル化学会社社長の西条貴文と、その専務の関根孝の二人だな。彼らはその後は、どうなったんだ?」


「はい、ではお話しますね。西条社長は相変わらずです。あんなにも自分の部下達が亡くなったにも関わらず、まだお悔やみの言葉一つないようですね。それどころかもう仕事に復帰していろんな案件や事業にいそしんでいるみたいです。その社長の姿勢に家族を殺された他の遺族達は皆大反発をしているとの事ですが、西条社長は全く意に返さず気にしてはいないようです。一方専務の関根孝さんですが、彼は亡くなった幹部や社員一人一人の家を訪れ、ちゃんとお悔やみと焼香をして回っているそうです。今回の事件では彼自身にも色々と思う所があるようですから、何かの心境の変化があったのかも知れませんね」


「西条社長と違い、関根孝専務は社員一人一人の事を親身に考えるようになったと言う事か。自分達が携わった堤防の外壁事業のせいでこんなにも死人が出たことに少なからず責任を感じているんだろう。あまり思い詰めないようにして貰いたい物だがな」


「そうですね。もう私達には何も出来ませんからね」


 そこまで話すと羊野は一端話を切る。ここからの話が恐らくは本題だからだ。羊野はマグカップに入っているコーヒーを一口飲むと、心なしか感情をのせながら話し出す。


「そして最後はあのデパートの地下一階の一角フロアーで金物店の店を開いている母親の甕島直美さんとその娘の甕島佳子さんです」


「お前は甕島佳子さんを悪魔の水瓶と疑っているようだが、彼女には犯行を絶対に遂行出来ないハンデがあるんだぞ。目が見えないと言うハンデがな。そこはどう説明するつもりだ」


「私達が六階フロアーで死体の一部に扮した梅塚幸子さんと水瓶人間に扮した海月光子を相手にしていた時、甕島佳子さんは一人で行動していたのでその間の行動を説明できるアリバイがありません。それは同じく四階~五階にいた水谷里子・木戸警備員・長瀬警備員も一緒ですが、時間オーバーでもう既に一階で逃げる準備をしていた水谷里子と長瀬警備員はあの時六階に現れた水瓶人間では無い物と思われます。その光景が一階の監視カメラに映っていましたからね。そして五階の監視カメラは何者かの妨害で撮影が出来ず、木戸警備員のアリバイを証明することは出来ませんでしたが、あの悪魔の水瓶の体の丸く細い曲線美は女性特有の物なので、大柄で筋肉質でおじさん体型の体をした木戸警備員はどう仮装してもあの悪魔の水瓶にはなれない物と判断します」


「つまり、あの時、俺達を襲った水瓶人間の体型に最も近い人物は、五階フロアー付近にいた甕島佳子さんしかいないと言う事か」


「はい、そう言うことです。あれから警察は甕島佳子さんを最寄りの眼科に連れて行って再度彼女の目を調べたそうですが、彼女は本当に視力が殆どなかったそうです。ですので殺人鬼の疑いからは外されました。それが悔しくてなりません。あの女が絶対に水瓶人間のはずなのに!」


「確かに凄い身体能力と並外れた、聴覚・嗅覚・触覚を持っている人物のようだけどな。流石に一人であんな大それた事はできないだろう」


「ええ、確かにそうなのですが、似ているんですよ」


「似ているって、何がだよ」


「一週間前にデパート内五階フロアーで、あの甕島佳子さんの首元に包丁を突きつけた際に瞬時に手首を捕まれてそのままねじり上げられた時の感覚と、六階フロアーで後ろから不意に現れた悪魔の水瓶にそのまま体を壁に叩き付けられた時の感覚と……」


「ただそう感じただけじゃ証拠にはならないだろ。あの甕島佳子さんが悪魔の水瓶かも知れないと言う明確な証拠はないのか」


「あの甕島佳子さんが悪魔の水瓶なら必ずあるはずなのですよ」


「あるはずってなにがだ?」


「彼女が仮装していた水瓶人間の衣装がです。その着ていた装備品さえ見付ける事が出来ればその中にあるはずの付着物から必ず彼女の髪の毛が見つかるはずです。彼女は長い髪の毛をしていますから、水瓶マスクの中から髪の毛の一本を見つけ出すのは容易です」


「でも、もうあれから一週間は経つが、結局あのデパート内からは2着の水瓶人間の衣装しか見つかってはいないようだ。一つは最初に梅塚幸子が着ていた水瓶人間の衣装と、海月光子が着ていた水瓶人間の衣装の二つだ」


「でもあれから一週間が過ぎても甕島佳子さんの着ていたと推察される三着目の水瓶人間の衣装が見つからなかったと言う事は、もうその証拠となる衣装を探し出す事は出来ない物と思われます。その証拠となる衣装はもう既に密かに回収されているでしょうからね。はあ~本当に残念です」


「甕島佳子さんが本当にあの水瓶人間だったらの話だがな」


「警察が言っていた。まだ見ぬ外部の人間がデパート内に現れて犯行を行ったと言う説は……私は信じてはいませんわ」



 苦虫でも噛み締めるかのように苦々しい顔をする羊野に勘太郎は、思い出した有ることを話し出す。


「そう言えばその他大勢の地下一階にいた人達は、みんな人数を確認しその場におとなしくしていたみたいだから、狂人ゲームが始まり終了するまでの八時間の間は、誰一人として上には行かなかったとの話だ。そう黄木田店長が言っていたからな」


「その時、甕島直美さんは一体何をしていたのかは、言ってはいませんでしたか」


「母親の甕島直美さんか。そうだな、黄木田店長の話では甕島直美さんは途中から、連載している推理小説の締め切りがあるとか言って、彼女はノート型パソコンを持って金物店の中にあるオーナー室に一人で立て籠もってしまったとの事だ。他の日雇いのパートのおばさんに聞いてみたらそんな事はよくある事らしいとの事だ。一度オーナー室に入ったら内側から鍵を閉めて数時間は先ず出て来ないとか言っていたらしいからな。甕島直美さん曰く、誰かに話しかけられると、せっかくのアイデアや集中力が途中で切れてしまうからだそうだ」


「まさかその部屋の中に何か抜け道のような仕掛けがあるのでは……」


「そう思ってその後警察が調べて見たんだが、その部屋は窓一つ無い密室だったとの事だ。勿論隠し通路や階段のような類いの物は一切なかったとの事だ」


「そうですか……」


「まあ、甕島直美さんは足が不自由で歩く事はおろか立ち上がる事さえもできない身だから、悪魔の水瓶には絶対になり得ないのだがな。もしかしたら一芝居を打ってワザと立てない振りでもしているんじゃないかとも思ったが、彼女も再度病院で調べて貰った結果、本当に立てない事が証明されたよ。だから甕島親子は白と言う事になるな」


「そうですか……パソコン……パソコンねぇ?」


 羊野はマグカップに入っているコーヒーを一気に飲み干すと少し言いにくそうに、ある話をする。


「あの~緑川さんの件なのですが、彼女が一週間前に友達の家にお泊まりに行くとか言っていた時があったじゃないですか」


「ああ、そう言えばそんな時があったな。それが一体どうかしたのか?」


「失礼かとも思いましたが、そのお友達とやらの家に電話を掛けて緑川さんが本当にその友人の家にお泊まりしているのかを聞いて見たのですが、その友人の話では、その日緑川さんはそのお友達の家には泊まってはいない事が分かりましたわ」


 その話を聞いた勘太郎は羊野の行動に少しびっくりする。


「お、お前なに勝手な事をしているんだよ。そんな事をしてもしその事が緑川にバレたらかなり不振に思われるぞ。なにこそこそと自分の周りを嗅ぎ回っているんだとか言ってな」


「大丈夫ですよ。ちゃんとその友人に口止めはしておきましたからね」


「お前は緑川の一体何を疑っているんだよ。彼女が悪魔の水瓶である可能性は解消されたはずだよな。それなのになぜだ。一体お前は緑川の何を疑っているんだ!」


「何を疑っているかですか。そうですね、それは私にも分かりません。ただ赤城文子刑事の話では緑川さんの両親は交通事故で亡くなったらしいです」


「ああ、その話は二年前に黄木田喫茶店にバイトで採用されて2年ぶりに会った時に本人の口から聞いたよ。自分の両親はもう既に交通事故で亡くなっているとな。だから天涯孤独になって大学に通うのも一苦労だともあの時は言っていたな。幸い親が残してくれた財産があるみたいだからそれで大学の学費は払っているみたいだがな」


「そうですか……車の事故ですか。黒鉄さんはそう聞いているんですね」


「何だよ、本当は違うとでも言うのかよ」


「とにかくです。その緑川さんが友達の家に行ったと嘘をついていたその日に、彼女は本当は何処に行っていたのでしょうね」


「どこにって、たまたま予定が変更してその友達の家には泊まらなかっただけの事だろう。それに俺達は緑川の家族じゃないんだから、緑川もいちいち俺達には報告なんかしないだろう。その日は何かの理由でたまたま予定が変わったんだよ、ただそれだけだよ。案外漫画喫茶やカラオケボックスに入り浸って日頃のストレスを発散していただけかもしれんぞ」


「その友人が住んでいると言う場所はあの二週間前に起きたあの惨劇の別荘にそれなりに近い所にあるみたいですよ。そして緑川さんが嘘をついた日が、その別荘で惨劇が起きた夜なのですよ。どうして緑川さんはその友人の家にお泊まりすると私達に言ったのでしょうね」


「その程度の憶測で、その日現場の近くに緑川の奴がいた事にはならないだろう」


「私には、緑川さんが友達の家に泊まったと私達に思わせるように敢えて嘘をついていたようにしか思えないのですよ」


「なぜそこまでして緑川の奴を疑うんだよ」


「さあ、何故でしょうね。彼女の戸籍を一応は調べてみましたが、特に怪しい所はありませんでした」


「だったら……」


「ただ、ある噂で……可笑しな事が少々あります。四年前にそのご両親が交通事故で亡くなったとの事ですが、ある噂ではそのご両親は車のブレーキを踏むこと無く崖から落ちて死亡したとの事です。そして当時の警察はこの事故を自殺かもしくは過失による人為的な事故と判断したそうですよ。でも一番驚いたのはその車の中にはあの緑川さんも一緒に乗っていたとの噂がある事です」


「なんだって、緑川もその両親が乗る車に一緒に乗っていたと言うのか!」


「あくまでも噂です。赤城文子刑事の話では警察に保管している事故の資料を調べた所、崖から落ちて事故死したご両親の事が書いていたとの事です」


「まあ、当然だな。亡くなったのはその2名だけだしな。そう記録が残っているのなら、おそらくはそうなのだろうぜ」


「ええ、そうですね。でもある記載では黒く塗りつぶしてある所もいくつかあったそうです。一体その黒く塗りつぶしている所には本来何がかかれていたのでしょうね」


「何が書かれていたって、お前……」


「仮に緑川さんがその車に乗っていて、事故に遭ったのだとしたら、生き残った生存者として記載があるはずです。でもそんな事は書かれてはいなかったとも聞いています。そこで黒鉄さんに質問です。緑川さんは車での事故の事は何も言ってはいなかったのですか。例えば、実は私もご両親と一緒に事故に遭ってしまいましたが、私だけが生き残ってしまいました。とか、そんな話を」


「いや、聞いてはいないぜ。ただ両親が車の事故で死亡したとだけ聞いているよ。その車に緑川も一緒に乗っていたかどうかは知らないな。彼女もそれ以上は特に語らないし、俺もそこまで詳しくは聞いてはいないからな」


「彼女はもしかしたら何かを隠しているのかも知れませんね。それが何なのかは今はまだ分かりませんが、もう少しだけ彼女を泳がせて置こうと思いますわ。どうやらほっといても危険は無いようですからね」


「羊野、お前の考え過ぎだよ。それにもし仮に緑川に隠し事があろうとも俺は緑川の事を信じているぞ。あいつはその性格からして犯罪を起こすような人間ではないからな。そしてこの事は絶対に緑川の奴には言うなよ。もしお前の疑惑が外れていたら、かなり恥ずかしい思いをする事になるからな」


「できれば五年前の緑川さんの指紋と今の緑川さんの指紋を見比べたいのですが。あ、それとDNA検査と網膜識別と耳紋検査も同時に行いたいですね。そうすればなにか分かるかも……」


「羊野、いい加減にしろ。仲間を疑うなんて良くないぞ。それじゃ今の緑川がまるで偽物みたいじゃないか」


 そう言いながら勘太郎は飲みかけのコーヒーを一気に胃の中に流し込むのだった。

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