言わなければいけない……
ここはお風呂なんだから当たり前と言えば当たり前なんだけど、あの西園寺さんが裸でバスタオル巻いた姿でやって来た事に、驚いて思わず呆然としてしまう私。
(いや……まぁ、よく何を勘違いしてるのか裸エプロンで出迎えてくる事はあるけど……)
けど、よく考えたら西園寺さんと一緒にお風呂に入るのらこれが初めてじゃないだろうか?まぁ、ちょくちょく「お背中流しましょうか?」と聞かれるので断ってはいるのだけど……
「先生。お隣いいですか?」
「えっ……?あっ……うん。どうぞ」
西園寺さんに尋ねられて思わず頷いてしまう私。西園寺さんは私の反応を見てクスリと笑い、私のすぐ隣に腰かけるように浸かり始める。私も同じように再び腰かけて浸かりながら、チラチラと西園寺さんを見る。
(あぁ……やっぱり西園寺さんって肌綺麗よね……やっぱりまだ10代だから……いや、なんとなくだけど……西園寺さんなら40代近くでもこんな感じがする……)
私は最早チラチラとじゃなくてがっつりと西園寺さんを観察してしまっていた。この距離からでも分かる肌のきめ細かさや艶。女性が羨むような理想的な体型。現状、私が西園寺さんより優っているのは胸の大きさだけだろう。同性でも見惚れるようなその美しさに、思わず吸い寄せられそうになるが、すぐにハッと我に返る。
(って!?何また欲情してるの私!?しっかりしなさい!!それが原因で色んな人に迷惑をかけてるのに!!?)
私は吸い寄せられそうになった自分を叱責し、そして……言わなければいけない事を私は口にした。
「ねぇ……西園寺さん。やっぱりこの婚姻関係やめにしない?」
私がそう言うと、西園寺さんは何も言わずに私の方を振り向いた。その表情は無で、私の言葉を真剣に聞こうとしているのが分かって、私は更に言葉は続けた。
「あのね……やっぱりお互い好いてない者同士が結婚するのって良くないと思うから……西園寺さんも私の事なんとも想ってないんでしょ?だから……」
終わりにしましょう……そう言葉を続けるより前に、西園寺さんから大きな深い深い溜息が漏れた。
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