高橋 真由美の過去
マッサージチェアーというなんとも言えない場所で柊さんに私の悩みを打ち明けた後、私は1人で大浴場のお風呂に浸かっていた。柊さんはまだマッサージチェアーを堪能したいと言っていたので、しばらくあの場から動かないかもしれない。下手したらあそこの住人になりそうな勢いすらある……
「恋……かぁ〜……」
私は柊さんに言われた事も含めて自分の心に問いかけはじめた。「私に恋は出来るのか?」と……しかし、その答えは……私の心の中で過去の自分が首を横に振っていた……
私は小学生の5年生ぐらいだったろうか?もうその時から胸のサイズがC……下手したらDぐらいあった。そのせいか、男子生徒はよく私を
「おっ!牛女が来たぞ!」
と言って私をバカにしていた。それでいて、視線は私の胸をいやらしい目で見ているので酷く困惑した事を覚えている。そして、同性からは……
「あの娘……胸で男の子釣ってて感じ悪〜!」
「顔は地味娘のくせにさぁ〜!」
と、めっちゃめっちゃ聞こえる声で陰口を言われた。別にそんなつもりは全くないし、私も好きで大きくなった訳でもないのに……
更に、男性教師からもいやらしい視線を向けられていた。そんな視線や陰口に耐えられなくて引きこもろうかと思った事もあるが、とある女性教師が私を勇気づけてくれたおかげで何とか最後まで通う事が出来た。その人の存在が私の将来を決めるきっかけにもなった。
しかし、それでも男性からの視線を避けたい為に、私は中学・高校とワンサイズ大きめの服を着て視線を避ける予防をした。まぁ、そのせいでデブと言われたけど、あのいやらしい視線や、陰口を叩かれるよりはマシだった。
そんな生活を送ってきた私だから、私は恋愛が出来ない……いや、恋愛がするのが怖いとも感じていた。男性はみんな私じゃなくて私の胸にしか興味がないんじゃないか?そう思い込んでしまって……
そんな人ばかりじゃないのは分かっているつもりだ。けど、小学生の頃に植え付けられたトラウマが消える事なく、結局私は恋愛というのを避けるように生きてきた。だから、せめて空想の中では幸せな恋愛をと思い、恋愛漫画や小説を買うのが私の唯一の趣味になっている。
「……こんな私が誰かを好きになるなんて無理だよね……」
うん。決めた。やはり、西園寺さんとの関係を今日でキッパリ終わりにしよう。そう心の中で決意したら
「先生?」
その西園寺が裸にバスタオルを巻いた状態で現れて、私は思わずドキッと胸が高鳴った。
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