マッサージチェアーは人を堕落させる
柊さんは私の方をジッと見つめ、徐々に私を認識し始めたのか、自分の今の状況に気づいて慌てた様子で私に話しかけた。
「いや!?ちょっ!?高橋さん……!?これはその……!?」
何か言い訳をしようかと思っていたのだろうが、上手く言葉に出来ないようだった。うん。まぁ、私もあの姿を知り合いに見られたら動揺する。まだ知り合って間もないとはいえ……
「うぅ……!?このマッサージチェアーが……!?このマッサージチェアーが私を堕落させるんです……!?」
ようやく口にした言い訳がそれだった。私は思わず苦笑を浮かべ、ふと気になった事を聞いてみた。
「藤村君と出かけてたのではないですか?」
2人は部屋にいなかったので、私はてっきり2人で出かけているものと思っていたので私がそう尋ねると
「藤村君も男湯の大浴場に行ってるはずですよ。藤村君は私達の荷物を持ってましたし、私は何度も職質にあって気疲れしたんで、お風呂に入ってサッパリしたいなって事で……」
柊さんが職質を何回も受けたのを思い出したのか、どこか遠くを見つめながらそう言った。
「まぁ、理央君は混浴が良かったとかアホな事言ってましたけど……」
柊さんは今度はジト目になってそう言った。よく、男子生徒が混浴は男のロマンと言ってた。私にはよく理解出来ないけど、そういうことなんだろうか……
それにしても……マッサージチェアーか……先程の柊さんの様子を見る限り相当良さそうな感じはするけれど……
「私も使ってみようかしら?」
私がそう言ったら、柊さんは笑みを浮かべ
「どうぞ!どうぞ!隣のが空いてるし使ってください!」
なんだろう……私も恥をかいたのだから、あなたも恥をかいてと言ってるようにみえるのは……流石に私の考えすぎかな……?
「そうですね。最近肩凝りが酷いですし……」
年齢が年齢だけに最近やたらと肩が凝りやすくなっている。その事を呟いたら何故か柊さんが再びジト目になり……
「それは……それだけのがあったらそうなりますよね……」
柊さんは私の胸をジト目で睨んでそう言った。そこで、私は今の浴衣姿が自分のソレが目立ってしまってるのに気づき、同性しかいないとはいえ胸を隠すような仕草をとった。
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