小躍りしそうなお嬢様

side:相沢 桔梗


私はお嬢様とは距離をとりながら歩いていた。一応、まだここは学校内なので、私とお嬢様が関係を持っている事がバレるといけない。だから、なるべく目立たない地味少女に徹して、お嬢様と距離を離しつつも、お嬢様と目を離さないようにしていたら


「…………ふふふふふふふ…………!」


何故か突然お嬢様が立ち止まって肩を震わせていた。私は思わず不審に思い、人がいないのを確認してお嬢様に近づいてお嬢様に声をかけました。恐らく、お嬢様も人がいないのを確認して立ち止まったのだろうけど……


「お嬢様はどうかしましたか?」


「…………うふふふふふふ……!やった!やりましたわ!!」


いきなり高笑いと歓喜の叫びをあげるお嬢様に私はギョッとする。長年お嬢様に仕えてるが、ここまで喜んでるお嬢様を見るのは何年ぶりだろうか?


「桔梗!見ましたよね!先生が私にビンタされると思った時のあの顔!あの表情は、私に叩かれるのを恐れてると感じてるのでなく、私との共同生活が無くなってるのを怖がってる感じだったわ!しかも!涙まで流して!これが喜ばずにいられますか!」


あぁ……なるほど……確かに、奥様がお嬢様に叩かれると勘違いなされた時、そのような表情をされてましたね。私も人の感情を察する能力は得意ですが、お嬢様はそれ以上ですからね。ほぼ間違いないのかもしれません。まぁ、例外として佐藤様の例がありますが……まぁ、彼女の場合は完全にお嬢様が彼女へ興味ないから気持ちを察しようともしなかったのかもしれません。


「ですが、まだ私如きの観察眼ですが、まだ奥様はお嬢様に気持ちが傾いている感じではないですよ」


「桔梗に言われなくても分かってます。ですが、それでもこれは大きな第一歩です。私との生活を失いたくないと思ってくれているんです。ですから、ここは手を緩めず、夕飯は先生の好物で攻めて、ゴールデンウィークも2人で出かけるプランを……」


まるで小躍りしそうな勢いで楽しそうに、今日の夕飯のメニューや、先にあるゴールデンウィークへのプランを考え始めるお嬢様。私はそんなお嬢様を見て軽く溜息をつきつつ、先程と同じように地味少女に徹して、距離を離してお嬢様について行く。



ただ、私はそんなお嬢様を羨ましくも応援したいという気持ちも強かった。



何故なら、私も好きな人と結ばれてはならない関係だから…………

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