さて……ここからは……

これで、あらかたの事情や疑問は全て聞き出せたと思う。正直、私は被害者と言える立場なんだけど、佐藤君は一途な想い故に暴走してしまっただけだし、藤村君はお兄……じゃなくて、お姉ちゃんの為にあんな事をしただけだ。なので、私的にはもう許して解散にしてもいいと思っていた。


「さて……蓮……どうやら原因はあなたの気持ちにちゃんと気づかなかった私にあるようですね。申し訳ありませんでした」


「遥香……!」


うん。どうやら西園寺さんも佐藤君を許す方向で話を進めるみたい。


「と、私が言うとでも思いましたか?」


と、思ったのだけど、西園寺さんがこれまで黒いオーラを放って佐藤君に微笑んでいた。佐藤君はそれを受けて、怯えて腰を抜かしたのか、その場でしゃがみこんでしまった。


「まぁ、稚拙な作戦になったとは言え、先生への配慮をした点は考慮して……3日間必要最低限の事以外口を聞かない罰で許してあげましょう」


「ちょっ!?そんな!!?」


あぁ〜……これは辛い……好きな人に3日間とは言え口を聞いてもらえないって……あんまり経験した事ないから分からないけど、きっと辛いだろうなぁ〜とは思う。


「それから……理央」


「ひいぃぃぃ!!?」


西園寺さんは今度は藤村君の方を振り向く。藤村君は完全に怯えきった様子で、青い顔して震えていた。と、そんな時である。突然、どこかで聞いた事があるような曲が流れ始める。どこから聞こえてくるんだろう?と思ったが、その曲は藤村君から聞こえてきているのが分かった。


「どうしました?理央。その曲は理央の着信音ですよね。出ないのですか?」


「なっ!?遥姉!?まさか!!?」


藤村君は慌ててブレザーのポケットからスマホを取り出した。どうやらあの曲は藤村君のスマホの着信音だったらしい。藤村君は慌ててスマホを操作して電話に出ると


ちょっとお話がありますからすぐ帰ってきてね』


「…………はい」


何故だろう……本来なら電話の相手の声は聞こえないはずなのに、物凄い怒りの感情がこもった声が聞こえてきたのは……藤村君はスマホの着信を切った後、すぐに涙目で西園寺さんの方を振り向く


「ちょっ!?何してくれてるんだよ!?遥姉!?報告しないって約束だろぉ!!?」


「そんな約束した覚えがない上に、先生を襲うようなマネをして私が許すと思ってたんですか?」


西園寺さんは黒いオーラを放ってニッコリ微笑む。それを受けて藤村君は諦めてガックリと項垂れる。


「まぁ、一応言ってませんけどね」


「はぁ!?じゃあ何で……!!?」


「私です」


藤村君の疑問に答えるように、相沢さんが自分のスマホを取り出してそう答えた。


「お嬢様からの指示を受けて私が電話しました。私も彼女とは面識がありますので」


「桔梗姉かよぉ〜ーーーーーーーー!!?」


藤村君は最後の絶叫を上げ、その場にコテンと倒れた。佐藤君も完全に真っ白な灰になっていた。


「では、これにて一件落着ですね。先生。私は先に家に帰ってますから、お待ちしておりますね♡」


「えっ……あっ……うん」


私が思わず頷くと、西園寺さんはそれはもう嬉しそうな微笑みを浮かべて、相沢さんを伴って去って行った。そして、残された私は……


「どうしよう……2人をこのままにしておけないよね……」


気力を失って動けなくなってる2人をどうすればいいか、しばし頭を悩ませる私だった……結局、2人共復帰してフラフラとした足取りで帰って行ったけど……

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