稚拙すぎる作戦
西園寺さんに若干怯えながらも、佐藤君は切実な声で訴え始めた。
「僕がけしかけたって証拠はないだろう!?だったら!先生が理央を誘惑したかもしれないじゃないか!遥香は仕事でいなかったんだろ!」
佐藤君の言う事は最もだ。佐藤君が何かをしたという証拠はないし、西園寺さんは仕事でいなかったのだから、事の全てを見てないのだから、私が何もしてないなんて西園寺さんには分からないはずだ。しかし、西園寺さんは呆れたような溜息をつき
「私は先生を信じてますから……と言いたいですが、先生。桔梗の出席状況は?」
「えっ?相沢さんの……あっ……そういえば相沢さんは休んでなかったわね……」
「なっ……!?もしかして桔梗が……!!?」
「バカなあなたの頭でも気づきましたか。そうです。桔梗にあなたを見張らせておきました」
さ……流石は西園寺さんだ……多分私の最初の相談で犯人が佐藤君と分かって、それから、自分の仕事が入ったのを利用して、佐藤君を相沢さんに監視させていたのか……やっぱりやる事が徹底している……
「というより、そもそも先生にけしかける相手として理央を選ぶ時点で間違いでしょう。私は理央があの人に一途に夢中なのを知ってるのに……」
「うぅ……!?」
西園寺さんに言われて言葉に詰まる佐藤君。藤村君はそんな2人を見て乾いた笑みを浮かべていた。どうやら、話を聞く限りだと藤村君には本当は付き合ってる人がいる感じなのかな?
「何故他の男子生徒を使おうと思わなかったんですか?それなら、無理だとは思いますが、私を騙すことは多少出来たはずでしょう」
「それは……だって……遥香にあの人と別れさせる為とはいえ、下手な男子生徒に頼んで本当に襲われたりしたらマズイし……だから……1番信頼出来る理央に頼むしかなかったんだよ……」
なんだか言いづらそうにそう言う佐藤君。一応ライバル(?)の私にそんな気を遣えるなんて……なんだか私はもう完全に佐藤君の事が憎めなくなってきていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます