よく分からないがイケメンに懐かれてる?

そんな出来事があってから更に数日の時が経った……



その後、私を手助けしてくれた藤村ふじむら 理央りお君とは何度も出会った。主に、昼休みに学食で、あちらから声をかけてくる感じだが……ちなみに、名前もその何回か会った時に向こうから教えてくれた。



ここ最近、私の昼休みは西園寺さんが作ってくれたお弁当を、西園寺さんがどうやって見つけたのか、生徒や教職員が全く来ないスポットで一緒にお弁当を食べていた。

が、前に話したけれど、現在西園寺さんは西園寺グループの仕事をしている為、お昼のお弁当も作れなくなってしまった。その事を西園寺さんは本当に申し訳なさそうな顔をして謝っていた。むしろ、私のようなダメな奴に毎日毎日手作りのお弁当作ってくれるだけでも感謝しかないのに……本当に私はそんないい娘の未来を……(以下省略)


まぁ、そんな訳でしばらく私の昼食は学食になってるのである。前まではこの学食のメニューに大変お世話になった。だから、私は勝手知ったるな感じでいつもの安くてお腹も満たされる定食を注文し、人気がなさそうなぼっち席を見つけてそこに1人座って昼食をとろうとしたら


「先生。相席いいですか?」


と言って私に尋ねてきたのが、以前私が落とした教材を拾ってくれた藤村 理央君だった。私は「構わないけど」と一言だけ言うと、彼はそれはもう女子がイチコロになりそうなイケメンスマイルを浮かべ私の向かい側の席に座った。


それがきっかけというか……藤村君とはその後も昼休みの学食で私がご飯を食べてる時に、決まって相席をしてくるようになった。

藤村君の為に誤解がないように言うけれど、別に私と藤村君がそういう関係を築いているとかは一切ない。大半が、彼が私に話しかけ、私がご飯を食べながらそれを聞いているというだけである。そこにやましい感情などは一切ない。が、藤村君は時々……


「先生は今日も綺麗だよね」


とか


「先生は綺麗系だと思うけど、可愛いとこもありそうだよね〜」


など、私が言われ慣れた事がない褒め言葉を言ってくる。こんなおばさんにまでそんな事を言ってくるなんて、藤村君はいわゆる女好きなのかな?と思い、最初は若干慣れなかったが、これも挨拶みたいなものだと思えば、だんだんと聞き流せるようになっていった。



まぁ、けれども毎回私と藤村君が学食で一緒になるのを見た噂好きの生徒達が、私と藤村君の関係を怪しんだりもしたが、私達の様子を目撃していた多数の生徒達が、私がご飯を食べてあまり藤村君の話を聞いてない様を見ていたので、結局この噂はアッサリ風化した。まぁ、そもそも噂は全く違うのだから風化して当然とも言えるけれど……



そして、本日いつも通りに私は職員用の玄関で靴を履き替える。そういえば、今朝は西園寺さんは嬉しそうに仕事を終えた事を報告してくれた。これからは、いつも通りに帰宅して、私を出迎えられると言ってくれた。そうか……久々にまた「ただいま」って言ったら「おかえりなさい」って返ってくる日が戻ってくるんだ……

と!?いけないいけない!!?私は思わず綻びそうになりそうになった私の内心を叱責する。そう。私はこの生活をいつまでも謳歌してはいけないのだ!早く西園寺さんの為にも、西園寺さんに相応しい人を見つけないと!

けどなぁ〜……それがなかなかに難しいのよねぇ〜……あの西園寺さんに惹かれない人なんてこの日本にいるのかしら?本気で海外から探さないといけないかも……最悪宇宙人じゃないと難しい可能性だって……


パサッ!!


「ん?何かしら……?」


私が頭を悩ませながら下駄箱を開けたら、何かが落ちてきた。それは、真っ白でシンプルな手紙だった。なんだろう……すごくデジャヴを感じるんだけど……とりあえず私は恐る恐る差出人を確認。が、今回は差出人の名前があった。その名前が……


「えっ?藤村君……?」


差出人はあの藤村君だった。私は若干戸惑いながらも手紙を開けると……


『先生へ。放課後屋上で待ってます』


……なんだろう……またデジャヴを感じる手紙内容に、私は更に困惑と戸惑いで固まってしまった……

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