先生と私は実は似た悩みを抱えているのかもしれない

side:西園寺 遥香


私は本当にスキップしてそうな勢いで先生が暮らすマンションの部屋の前までやって来た。私は呼び鈴も押さずにドアノブに手をかける。鍵はかかってなかった。まぁ、それも当然か。もうすでに桔梗が先生の鞄から鍵を取り出して入ってるだろうし……まぁ、鍵がかかっていたとしても、このマンションも西園寺グループが関わってる為、合鍵はすでに入手済みだったりするのだけど……


私は少しドキドキしながら先生の部屋に入る。先生の部屋は独り身女性にありがちな散らかった様子は一切なく、綺麗に整理整頓されていて、こまめに掃除をしてるんだろうなぁ〜というのが見受けられた。まぁ、先生は超がつく程真面目な方なので、これが普通なのかもしれない。


「お嬢様」


私がじっくりと先生の部屋を観察していたら、桔梗が若干ジト目で睨みながら私に声をかけてきた。もう少しだけ先生の暮らす空間を眺めていたかったけど仕方ないわね。まぁ、これからはこの空間をじっくり堪能する日々が出来るのだし、今は計画を進めていきましょう。


「お嬢様のご要望通りにしておきましたよ」


桔梗がそう言って向けた視線の先には、先生が服を着たまま布団の上で眠っていた。流石は桔梗だわ。見事に注文通りね。


「ありがとう。では、早速計画の準備に取りかかりましょう」


私は意気揚々と先生に近づき、先生の服に手をかける。私の計画を進める為には、先生には裸になってもらわないとダメなのです。そう。これは計画の為。決してやましい気持ちなんて微塵もありませんよ。

桔梗にジト目で睨まれてるのを感じながらも、私はそれをあえて無視して先生の服を起こさないように脱がしにかかる。


が、先生の上の服を脱がした時、私は先生のある一点に目がいきそのまま固まってしまう。すると、誰かが布で私の鼻と口を覆った。こんな立場の私だから、護身術は一通りマスターしている。そんな私にこんなマネが出来るのはほんの数人だけだ。


「お嬢様。流石に西園寺グループの一人娘が出していいものではありません」


その内の1人である桔梗が、私の鼻と口から出てしまいそうになったものを、布でゴシゴシと拭いて、速やかに布を処分した。流石は桔梗ね。桔梗がいなかった危うく先生に私の出てしまいそうになったもので汚してしまうところだったわ。まぁ、私のもので先生が汚れるというのはなんだか胸がトキメク響きなのだけど……


「しかし……まさか先生がこれ程だったとは……」


あの桔梗も先生のある一点を見つめて思わずそう呟いた。まぁ、桔梗がそう呟いてしまうのも仕方がない話でしょう。

私達が驚いた先生のある一点、それは…………先生の胸。私も、中学3年の頃から大きくなり、高校生になる頃には、女性の理想のバストサイズと言われる程になったのだけれど、先生の胸は私のより一回り……いや、下手したらふた回り分大きかった。

ちなみに、桔梗はその……胸に関しては……まぁ……その……そういうのが好きという殿方もいらっしゃるサイズというか……ねぇ……?


「お嬢様。何か失礼な事を考えてませんか?」


桔梗がものすごい形相で私を睨んできた。何故私の考えを読めたのかしら……優秀なメイドだとは思っているけれど……流石に優秀すぎじゃないかしら?


「しかし……何故先生はこれだけの物を持ちながら、わざわざワンサイズ大きい服を着て隠すようなマネを…………私だったら自慢するように見せびらかして回るのに……」


最後の桔梗の言葉は聞かなかった事にして……確かに桔梗の疑問は誰もが思う事かもしれない。先生の胸は、巨乳の人がよく悩むような垂れてる感じもないし、お腹が出ている訳でもなく、程よい肉つき加減だ。ちなみに、最後に確認したお尻も割りといい感じの肉つき加減でした。わざわざ「デブ」なんてあだ名がつけられるような事をしてまで隠す必要はどこにも見受けられない。


けれど、私の考えは


「もしかしたら、先生は私と同じ悩みを抱えていたのかもしれませんね」


「お嬢様と……ですか……?」


私は、この容姿と西園寺グループの一人娘という肩書きで、様々な視線や下心が混じった感情をぶつけられてきた。唯一、私への対応が違ったのは家族や身内同然に育った桔梗以外では、たった1人だけだった。

そして、推測ではあるが、先生も昔からこれ程の胸を誇っていたら、様々な男子からのいやらしい視線を浴びせられたに違いない。それを避ける為に、ワンサイズ大きい服を着て隠していたと思う。そう考えれば、私と先生は似たような悩みを抱えていた者同士。これは最早運命ですね。


「さて、桔梗。あなたはすぐにお父様に報告したら今日はもう帰っても構いませんよ」


「分かりました」


桔梗はそれだけ言うと、颯爽と先生の部屋を出て行った。これで、この部屋には私と先生の2人のみになった。私は逸る気持ちを抑え、自分の服を全て脱いで先生と同じく裸になり、先生の隣で横になり、掛け布団をかけた。これで準備万端。後はゆっくり寝て翌朝を待つだけです。


「おやすみなさい。先生。良い夢を」


私はそう言って目を瞑って眠り始める。翌朝の先生の反応を楽しみにしながら……

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