セクハラ教頭のアノ噂は本当だった……

早くコンビニでお弁当買って帰りたかったのに、教頭に声をかけられ、嫌だなぁ〜というのが顔に出そうなのを必死で真顔に引き戻す。


「今日これから玉木先生と浅井先生の結婚を祝した飲み会をするんだけど高橋先生も参加してください」


なんでこういう人は飲みに誘うのにいつも命令口調なんだろうか?正直に私は行きたくないと思った。結婚を祝した飲み会に私が行けば、1人独身なのをからかわれるに決まっているんだ。主に目の前にいる人に……


「申し訳ありません。これから大事な用事がありますので」


私は軽く頭を下げてお断りの言葉を発したのだが……


「そんな事言わず!どうせ大した用事じゃないんでしょ?帰っても1人寂しく飲んでるだけでしょ?」


おい!勝手に人の都合を決めつけるなよ!まぁ、合ってるんだけどさぁ!なんでこの人私の行動を分かったように言ってんのよ!いや……まぁ……この人も今は私と同じく独り身だから分かるのかも……


とにかく、どうやってこの場を切り抜けようか頭を悩ませていたら、教頭が馴れ馴れしく私の肩を抱くように触ってきた。


「せっかくだから一緒に飲んで語り合いましょうよ。同じ独り身同士……ね?」


私の耳元で囁くようにそう言ってくる教頭。私の全身をさぶいぼが走るような感覚が起きる。周りの先生達が気の毒そうに私を見つめている。いや!?見つめてないで誰が助けてぇ〜!!?


私が心の中で助けを求めたそんな時だった……


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教頭の髪……いや、カツラが突然取れて、何故か空いていた窓の一つに飛ぶように放り出された。そして、あらわにされる教頭の波◯そっくりなヘアスタイルに、すぐ近くにいた私は思わず吹き出し、笑いを堪えようと必死で俯いて口元を抑える。周りの先生達ですら私と同じ状態に陥っているので、近くにいた私の衝撃は計り知れないものがある。


「へっ……?あっ……あぁ〜!?私の髪〜!?待ちなさい〜!!?」


教頭は頭が急に涼しくなったせいか、自分の頭にあったはずのものが無くなった事に気づいて慌ててカツラを追って走り去って行った。いや、あなたの髪じゃなくカツラだけど……


「……それでは、お先に失礼します」


私はそう言って再び頭を下げて帰宅の途につく。もう本当に私の帰宅を止める者は誰もいなくなった。



しかし、教頭の髪が実はカツラだったという噂はあったけど、教頭もバカじゃないんだからカツラが外れないように対策はしてただろうに、何故あんな風に吹っ飛んで行ってしまったんだろうか?それに、不自然に窓が一つだけ開いてたのも気になる……まぁ、でも助かったから気にしないでいいか。

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