海岸道路
週末がやってきました。
智子さんのたっての頼みで、トウキョウからノアキス地方にある、ミヤコ近くまでの海岸道路を、美子さんとドライブです。
人工的に作られた海ではありますが、乏しい光の下、きらめいています。
高速道路と違い、一般道路ですので、随所に都市が連なっています。
当初の予定と違い、国家規模で移住してきた日本と北欧四カ国は、都市単位で移住し、歴史的建造物など出来る限り移設しています。
住民が移住した後、該当国家においては、軒並み移設しました、人がいないので手荒に出来ますので、結構簡単でした。
日本の場合、北海道だけは残留希望者などの為に、ここのインフラなどは残してあります。
海岸道路沿いには、そういうわけでヨコハマ、ハママツ、ナゴヤなどの諸都市が連なっています。
美子さん、軽のオープンスポーツを借りてきました。
一応電動で幌が動きます。
マルスですからクーラーは付いていません。
色はブリティッシュグリーンマイカ、オートマチックですよ。
でもホイールが十インチですからね、コロコロとしたスタイル、可愛らしいスタイルです。
トウキョウを早朝に出発し、ミヤコへは午後の六時頃につく予定です。
「行くわよ!」
「はい♪」
マルスの海は淡水、バイカル湖の水産物をメインに、白身のオームリやヨーロッパのドナウイトウなど、純淡水魚などが、遺伝子改良されて泳いでいます。
近頃はどしどしと獲れています。
この頃はシジミなども取れ始めています、寒冷地ですので成長が少し遅いのですが、かなり大きな物がとれます。
その他、遺伝子改良の御蔭で、アユやヤマメ、イワナにニジマスそれにカジカ、信じられない事ですが、ウナギまでいます。
琵琶湖産のウナギを遺伝子改良したもので、美子さんのウナギ好きを、考慮したとのことだそうです。
エビも手長エビならいますが、生では食べられませんからね……
大物はアメリカザリガニが食べれますが、日本地域のヘラス海には生息していませんね。
カニはヘラス海の最深部に、これまた遺伝子改良したタカアシガニが、余り多くはありませんがとれます。
このカニの身は、イセエビのような味なので、まぁイセエビの代用になっています。
そのほか、かなりのテラの海水魚が、陸上養殖されていますので、寿司のネタにはあまり困らないようです。
日本人は、どこでも工夫して魚を食べますからね。
トラフグさえ陸上養殖、画期的な事は、マルスの養殖トラフグには毒がないのです、ただ高いのですよ。
朝の九時ごろ、営業中のドライブインを見つけ、おトイレ休憩です。
用を済ませ、二人は朝食を食べに入りますと、結構な人がいます。
ファミリーなどもチラホラ。
店員さんが、
「こちらが朝のメニューです」
「何が有るのかしら♪」
メニューは、和定食と洋定食の二種類のみでした。
「選ぶ必要などないわね、智子さん、どちらがいいの?」
「私は和定食を」
「すみませんが和定食を二つ、洋定食を一つ」
怪訝な顔の店員さん。
「合計で三つです!」
強く言った、美子さんでした。
パクパクと定食二つを平らげ、再びハンドルを握った美子さん。
何を思ったか幌を閉じました。
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