乗られる女


 二三日して、今は七回生になっている美子さんが、東京ハウスの智子の室にやってきました。


「智子さん、私の為に、軽免許にチャレンジしているの?聡子さんから聞いたわよ」

「お姉さまったら、美子様にしゃべったのですか?」


「貴女が、チャレンジしているのは知っていたけど、私の為ならおやめなさい」

「……」

 美子さん、まだ制服のままの智子さんを、背後から抱きしめ、ショーツなどさすりながら、

「貴女は私の大事な我妹子(わぎもこ)さん、ここが怪我などされたら困るわ、智子さん、美味しいのですから」


「……美子様が……おっしゃるのなら……」

「私の為なら、もっとここで、尽くしてね」

 

「智子は何でもいたします……」


 この後、窓から午後の日差しが照らすベッドが軋んだ訳です。

 満足させてもらった智子さん、ベッドの中では、とても16歳とは思えない妖艶な雰囲気です。


「良かったわよ、これからも『乗る女』ではなくて、『乗られる女』を心がけてね」

「はい、智子は『乗られる女』です、でも『乗せる方』は、美子様だけです」

 

「嬉しいわ、じゃあ今度の週末、ご褒美にドライブに行きましょうか、私が運転してあげるわ」

「私は『乗る女』ですからね、『乗られる女』とは相性がいいですからね」


 この一言で、いっぺんにご機嫌になった智子さんですが、聡子さんは超ご機嫌斜めです。


「なんで私の順番が入れ替わるの!やっと回ってきたのですよ!」

 今度の週末は、聡子さんの夜の順番だったのですが、智子さんと代わったのです。


「いいではないですか、美子様がお決めになったのですよ、十日ほど伸びるだけです」

「まったく……『勇者』なのね、智子は!」

「『勇者』?」

「恥を知らない、愚かな行為をする方です」


 智子さん、けらけら笑いながら、

「『勇者』で結構、お姉さま、恥を知らない愚かな行為って、人生の上では多々ある事でしょう」

「私たちは美子様に操を売ったのよ、この行為は状況を知らない方が聞けば『勇者』の行いでしょう?」

「……」


 聡子さん、ここで顔が和らぎました、

「そうね、智子さんの言う通りね、私も『勇者』だったわね……」


「『勇者』?」

 聡子さんから説明を受けた美子さん。

 かなり笑いましたが、感心もしていました。


「恥を知らない愚かな行為を、堂々と行うことは勇気とはいわないわよ」


「あえていえば、恐れずに行うという点においてのみ着目して、これを勇気というなら蛮勇の部類、まぁしかし逆説的に例えるのでしょうから、『勇者』なのでしょうね」


「確かに上手い例えね、智子さんには悪いけど、とんでもない運動音痴ですからね」

「蛮勇はやめていただかねばね、でも悪気はないのですから、妹のために少し我慢してあげてくれませんか」


 東京ハウスの一室で、美子さんは聡子さんを背後から抱きしめ、ショーツなどを、上からさすりながら囁いています。


「もう、美子さまったら、智子と同じようにするのですか、まったく……」

「公平に可愛がってあげましょう、私、変態ですからね、どちらが美味しいのでしょうね、やはり姉妹ですから同じお味なのでしょうね」


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