第四章 鈴木智子の物語 軽免許がほしいの!

十六歳になったので


 運動音痴の智子さんは、十六歳になり、軽免許習得を目論んだが、家族の予測通りの悲惨な結果に……

 余りに危険なので、ついに美子さんに説得の役目が依頼された。


 御蔭で美子さんは、智子さん念願の、一泊二日のドライブ旅行をする羽目に……

 しかしそこは筋金入りの変態美子さん、車中で智子さんに……


     * * * * *


 マルス移住が完了して一年、世の中が落ち着いてきた頃です。

 鈴木智子さんは十六歳になりました。


 オディール女学院の四回生、髪はおかっぱ、姉の聡子さんに似て、目の印象的な美少女です。

 さすがにオディールの女生徒、清楚で上品な感じが漂いますが、なかなか気が強いところも見受けられます。


 この頃には、ナーキッドオーナーの女の証である、チョーカーやリングも認知され、『メイド』は女性たちの憧れとなりつつあります。


 智子さんは寵妃でもあります。

 一応女学生という事で、学業中の『寵妃』さんのチョーカー表示は、おおっぴらには控えるようになっています。


 スリーシスターズには、チョーカー所持者が結構いると、世間ではいわれています。


 とくにオディール女学館は、移住前からナーキッドの女学校というのは公表されており、スリーシスターズの筆頭、というより、マルス世界の八年制高女の筆頭、世間ではかなりいるのではと、噂されています。


 それを裏付けるのが、去年スリーシスターズにはメイド任官課程が併設され、まだ一回生がいるだけですが、その生徒が智子たち『寵妃』に対して、恭しく接するのでわかるのです。


 メイドというのは、ある意味で階級組織、上位者には従うように徹底的に教育されます。

 それゆえ誰が『寵妃』で誰が上級者か、注意深く観察すればヒエラルキーが分かるのです。


 オディール女学館内では、頂点は吉川美子さん、次がアリスさんとアテネさん、とくに吉川美子さんは、ナーキッドオーナーではと、密かに噂されています。


 マルスに移ってきた日本帝国ですが、内政の法律などはかなりそのままです。

 ナーキッドのマルス統治のために、教育及び婚姻が統一されているだけです。

 といっても、教育年度は各国の裁量ではあります。


 貨幣なども各国通貨があり、その上に金本位としてのナーキッド金貨があり、これが決済に使われています。


 そして日本帝国内では、免許制度も独自のものが有ります。

 鈴木智子は独自制度でもある、『軽免許』を習得しようとしているようです。

 オディール女学館では推奨はしませんが、免許取得は認めています。


 この日本帝国の軽免許とは、十六歳から取れますが試験があります。

 免許試験場での試験が必須、一部免除は認められていません、普通免許は二十歳からとなっています。


 軽免許は、軽自動車と呼ばれるカテゴリーの一部の車が対象で、長さ 三.〇メートル 、幅 一.三メートル、高さ 二.〇メートル、しかも、オートマチックで二人乗りとなっていますが、小さい予備シートは認められています。


 その為、少しだけ前席より小さい後席であれば、規定上通りますので、事実上四人乗車も可能です。

 エンジンは極めて小さく、ナーキッドが設計してオープンにしている電動エンジン。

 マルス上空に浮かぶ、太陽光発電衛星からの受電設備を装備することが条件です。


 タイヤは十インチと決まっています。

 その他にも安全装備など、事細かく決まっています。


 トルク重視の規定となっており、法律上最高速度は八十キロに制限されています。

 マルスを縦横に走っている、ナーキッド管理の高速道路には乗り入れ不可となり、おもに国内専用車の位置づけとなっています。

 日本帝国内だけで販売されているのです。


 もともとは六百六十ccでしたが、マルス移住時にこのような規格となったのです。


 バイオ燃料を使用できるハイブリッド仕様もあり、この仕様は高速道路に乗り入れでき、それなりのスピードが出せます。

 十インチタイヤの制限はありませんし、ミッションも認められています。

 ただこちらの軽自動車は、軽免許では乗れません。

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