因果はめぐる
「さて、まずは左藤文(さとうふみ)さんとお話でもしますか、晶子さんも付き合ってください」
「忍さん、アフタヌーンティーの準備をお願いしてきてください」
左藤文さんを伴い別室へ、四角い小さいテーブルと椅子が少し……
美子さん、左藤文さんを突然膝の上に乗せました。
あろうことか、ショーツの中に手を入れました。
一瞬足を閉じかけたのですが、必死にこらえた文さんです。
「私が貴女の主人の吉川美子よ、これからこのようなことをされるのよ、理解している?」
相手が女性とは知らなかった文さんでしたが、少しホットしたところもあります。
「はい、私は美子様の我妹子(わぎもこ)です」
文さん、かなり興奮しているようですね。
ここで美子さん、スカートから手を出しました。
かなりいやいやしたような……
「私は貴女に対して、申し訳なく思っていました、これからは私が貴女を守りましょう」
「いつか抱かせていただきますが、それまで東京千代田区のサンモール高等女学校で、学業に励んでください」
「それからこれを付けてください、マリッジリングみたいなものですから、あとで晶子さんが説明してくれるでしょう」
どうやら転校先に、話をつけていたようです。
なんせ京都市立二条高等女学校の現役生徒、元の市立第二高女、ナンバーズの端くれ、大正十一年開校の公立女学校ですからね、名門私立のサンモール高等女学校といえど、学力は大丈夫、無試験で受け入れてくれるようです。
「晶子さん、いろいろ経緯もありましょうが、文さんを引き回してあげてください、ほら文さんもお願いするのよ」
「晶子お姉さま、文をよろしくお願いします」
「私からもお願いするわ」
美子さんにキスなどされて、ささやかれるとね……
こうして二人は退室し、荒井めぐみさんと織田千代子が呼ばれました。
「さて荒井めぐみさん、ここにいる織田千代子さんは、織田織物の娘さんです」
「貴女の義理の父親に裏切られて、織田織物は破産、ご両親は自殺、千代子さんは六条楼に身売りを余儀なくされました」
「その上、荒井氏は千代子さんを水揚げ、幾度となく抱いたのです」
めぐみさん、真っ青な顔色です。
千代子さんと視線を合わせられません。
「私は少し貴女を調べました、荒井氏の内縁の妻、つまり貴女のお母様は、その昔、上七件の芸妓でしたね」
頷くめぐみさん。
「千代子さん、貴女がお母様のお腹にいる頃、お父様が上七件の芸妓に手を出して、大騒動になっとことを知っていますか?」
「母から聞いたことがあります」
「もう薄々は感づいているでしょうが、めぐみさんのお母様に手をつけたのが、千代子さんのお父様、めぐみさんはそのときの子供です」
「荒井氏は知ってか知らずか、織田織物の旦那のお妾さんに、手を出したわけです」
「多分めぐみさんのお母様は、墓場まで、秘密を持っていくつもりだったのでしょう」
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