あの方は容赦ない


「お二人はナーキッドの関係者ですよね……指輪はされていますか?」

 二人は見せました。


「チョーカーではないので、事細かくはいえませんが……アリシア嬢はご存知ですね、あの方と出会う前に、メキシコの組織が、チョッカイを出していたそうです」


「あの方はそれを把握され激怒された由、その組織の構成員は女子供といえど、一人残らず消えました」


「あの方は、麻薬と人攫いは認められません」

「今度はこの日本で、間違いなしに起こりそうです」


「あの荒井という男は、そのような暴力組織の幹部の一人です、もっとも、詐欺団もいたのは意外でした」


 こう二人に説明していると、鈴木順五郎さんの携帯がなります。

「はい、やはり……関係各位には伝えておきます、お二方ですか?」

「これからお茶でも飲んでいただいて、お帰り願います」


「えっ、迎えに来るのですか、夕食をご一緒に、分かりました、伝えておきます」

「どこか予約しておきましょうか?天麩羅ですね」


「吉川美子さんが、迎えにこられるそうです、それまで、お茶でも飲んでいてください」


 秘書さんを呼んで、二人を別室に案内させて、受付に吉川美子という姪が、会いに来るので通すようにいっています。


 そして美子さんがやってきたのです。

 ただもう一人連れていました。


「エールさんを連れてきたの、処分の話をしましょうか、エールさん、この組織、処分できるでしょう?」

「造作も無いこと、マレーネ様を参考にさせていただきます」


「今回は構成員だけ、何人います?」

「小さいものです、三百名ほどです、ほとんど不法滞在の人間ですね、幾人かは、日本人もいるようですが」


「麻薬や人攫いはしているの?」

「麻薬はしているようです」

「では処分して、一人として残さぬように」


「お任せを、目立たぬように消えていただきます」

「ところで荒井といったわね、妻子はいるの?」

「います」


 ここで美子さん、鈴木順五郎さんに、

「荒井の妻子はどうしますか?」

「自らの力で、生きてもらうしかありません」


「さて、後はエールさんがうまくやるでしょう」

「銀座の天麩羅でもいただきに参りますか、そこ、支払いは小切手でいいかしら?」

 美子さん、あまり現金は持っていないようです。

 しかもカードなど、信用していないふしがあります。


「料金は鈴木商会に、請求するように言ってありますが」

「それはいけないわ、では金貨を置いていくわ」


「いや、それは……では、こちらの希望する情報を教えていただけませんか」

「どんな情報?」

「六条晶子を、妾にと望んだ年寄りの隠し口座」

「なるほどね」


「エールさん、分かる?」

 エールさんの手が、かすかに光ります。

 そして一枚の紙が手の中に現れ、美子さんに手渡しました。

 

「これでいいかしら」

 そこには詳細な隠し預金口座、そのほかにも、他人名義の債権など、一切合財の資産の詳細が記載されていました。


 エールさん、忙しそうにかえって行きました。

 仕事を抱えているとのことで、頼まれた仕事は片手間となりそうです。


「総支配人、リベンジ宜しくね、晶子さんに手を出しかけた爺、痛い目にあわせてあげてね」

「まぁ命はとらなくてもいいのよ、無一文にすればいいだけよ」


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