第31話 ょぅι゛ょと菊、サラミソーセージ、おケケの生えた野球ボール大の袋状のモノ
「やあお嬢さんたち。まずはキミたちに、ボクがこうやってありのままの姿で出会えたことを嬉しく思うよ。好意と友情を示すのにお互いに無駄な言葉を飾り立てて真意を濁すなんて、そんな社交辞令じみたものはお互いにいらないよね」
「ぎいあああああああーっ!!!!! 服!! 服うううううう!!!!」
アリスの前に陣取るハーピィが絶叫した。
「どうしたんだい? キミも、生まれたばかりの丸出しの感情を素直に表現したいのかい?」
男は腰に手を当てクイっと横に流す。
「?」
「いやああああああああ!!!!!」
アリスは背が低かったので、男の丸出しの該当部は見えなかった。代わりにハーピィが叫ぶ。
「金色のモジャモジャが!! 金色のモジャモジャがッ!!」
「おおっと失礼。初対面のレディに、うっかり曲がったままのものを見せてしまいましたね」
男は自身のソレをキュッと曲げてまっすぐに直した。
「男の身だしなみも、大事なことですよね」
「いやあああああああああーーーーーっっっっ!!!!!」
男は上半身裸で下半身も裸、生まれたままの姿で顔には目元を隠すためだけの黒い仮装マスク、そして全裸、中肉で引き締まった腹筋に全裸、長く引き締まった肢体に、全裸金髪、一糸纏わぬ全裸であった。
「だからいったい何が起こってるのよっ!」
「あ゛ーーーーっ!!!!!!」
アリスが目の前に立ち塞がるハーピィの羽をどかして前に出ると、風に吹かれたハーピィの羽数枚が宙を舞いちょうどアリスの視界を局所的に塞いだ。
「な、裸の中年…………!?」
「やあ。お目にかかれて光栄だよケモミミの諸君。まずは元気に挨拶といこうか、ぱおーん!!」
男が両手を広げ魔法詠唱の格好をするとぶわっと風が森中を吹き、枯葉、小枝、男が丁寧に畳んで地面に置いた白いシャツ、ズボン、ベルト、靴下、靴、帽子、インナーシャツ、ももひき、ペンダント、小物鞄ハンカチティッシュその他多くのものが宙を舞った。
男のトランクスがちょうどアリスの視界を遮りながら飛んでいく。
局部は見えなかった!
「いやああああああああああ!!!!!!!」
「て、転生者! やっぱりあんたヘンタイの転生者だったのね!!」
「ヘンタイと呼ばれるのは少し心外だなあ。けどキミにヘンタイと罵られるのは悪い気はしないね! ぱおん!」
男がガニマタになって魔法を説く。
ぐおおおおおーっと、アリスたちのいる冒険者の森を風がうねりをあげて駆け抜けていく。
アリスは風圧から目を守るために、腕を前に向けて顔を覆った。
ハーピィは風属性の亜人だったので風系魔法の影響力は皆無だった。
「アアアアアアアアアアアーーーーーーーーッ!!!!!!」
もろに何かを見てしまったらしいハーピィが目を抑えながら体をガクガクさせて、そのまま風に吹かれて飛んでいってしまう。
アリスと全裸の中年転生者は、間に何もない形で互いに対峙した。
風圧がひどくて森の中では小さな竜巻が渦を巻いている。
アリスは前がよく見えなかった。
さらに悪いことに、アリスは今までの戦いでは常に相手の油断を利用して戦ってきていた。
今回の転生者は油断をしているどころか、もうすでに戦闘状態に入ってしまっているのである。
間に障害物は一切ない。隠れる場所もない。
広い場所。
圧倒的な力の差を持つ相手と一対一の状況、アリス絶体絶命のピンチ!
「泉の宝物は誰にも渡さない、悪いがキミには退場してもらおう! くらえ、ゴールデンスマッ」
「アリースッ!!!!」
体を捻って宙を飛ぶ全裸中年転生者!
風圧に飛ばされそうになりながら懸命に耐えるアリスの目の前に、菊の御門とサラミソーセージ、おケケの生えた野球ボール大の袋状のモノが迫ってきた時、突然どこからか、聞き覚えのある声が聞こえる。
そして何かが視界を遮ったと思ったら。
近づく男のソノモノを、勢いよく何かが殴り飛ばした!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます