第68話 弱い心

「いらっしゃいませ。」

 名探偵少女オリアの探偵事務所にお客様がやって来た。

「あ、あなたは!? カリア!?」

 名探偵少女の探偵事務所に現れたのは、悪い少女、悪少女のカリアだった。

「フッフッフ。お久しぶり。オリア。」

 不敵に笑う悪い少女。

「何しに来たのよ!?」

 身構える名探偵少女。

「あら? つれないわね? 私たちは友達でしょ。」

「友達!? 私を悪の道に引き釣り込んだくせに! 何が友達よ! あなたなんか友達じゃないわ! 絶交よ!」

 しっかりと絶交宣言する名探偵少女。

「それはどうかしら? 一度、悪の道に進んだら最後。あなたは、もう汚れているのよ。一度犯罪を犯したら、二度犯罪を起こしても同じ。どんどん心に悪の衝動が生まれてきて、悪の快楽に落ちていくのよ。フォフォフォ!」

 悪い少女は名探偵少女の心の隙間に付け込んでくる。

「私は汚れている!? 私は罪を犯した!?」

 疑心暗鬼が生ずる名探偵少女。

「そうよ。どんなに謝っても、あなたの罪は許されない。」

「私の罪は許されない!?」

 不安が名探偵少女の心の中を覆っていく。

「それなら悪の道を進んだ方が気持ちが楽でしょ。おいで。おいで。悪の道へ。私たちは友達でしょ。悪縁や悪友は簡単に切れたりしないわ。」

「悪の道・・・・・・悪の友達・・・・・・。」

 麻薬少女や風俗少女と同じような心理状態に追いやられていく名探偵少女。

「だって私が、あなたみたいな、心の弱いカモ、逃がさないから。手放す訳ないでしょ。」

 悪い少女は悪意をもって、優しい心の持ち主の名探偵少女を悪に洗脳していく。まるでオレオレ詐欺を騙しやすい高齢者に催眠術をかけているようだ。

「そうよね。私たちは友達よね。悪の道! 最高! キャハハハハ!」

 名探偵少女は呪い少女に変貌してしまった。

「ダメよね。こんな心の弱い子を一人ぼっちにして。簡単に悪い少女に女郎にされて売り飛ばされちゃうわよ。死ぬまで客を取って稼いでもらうんだから。ケッケッケ!」

一仕事を終えた悪い少女は計画通りに事が進み笑いが止まらない。

「さあ、これで一人かけたわよ。○○少女舞踏会で、超能力少女たちが驚く顔が目に浮かぶわ! カッカッカ!」

 名探偵少女の事務所に悪の笑い声が響き渡る。

 つづく。

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