第53話 久しぶりにバイトに行く

「う・・・・・・うう・・・・・・ここは?」

 いいね少女のエリアが目を覚ました。

「○○少女コンビニよ。」

 コンビニの制服を着た姉の真理亜がレジを打っている。

「あなたは!? サイキック少女!?」

「違うわよ。タイキック少女よ。」

 自分で否定する場合は、まったくズレてない。

「あなた、我が大神家は出入禁止よ。」

「出禁!? どうして?」

「当たり前でしょ。うちの家族に迷惑をかけたんだから。」

 エリアは大神家に出入禁止になった。

「チッ。せっかく「いいね」を稼げる謎の生物にたどり着いたのに! 惜しい!」

「やめいー! 迷惑だ!」

 悔しがるエリア。

「エリアちゃん、どうして、そんなに「いいね」にこだわるの?」

「だって私には「いいね」しか友達がいないから。」

 衝撃のいいね少女が「いいね」を求める理由だった。

「え?」

「リアルで友達を作ると、一緒に遊びに行ったり、お茶を飲んだり、お金がかかるんだもん。だからリアルでは友達なんて作っていられない。でも、「いいね」は個人活動だから、お金はかからないで好きなだけ遊べるんだもん。」

 これが大半の現代人がSNSや「いいね」に群がっている理由である。結婚しないのではない。結婚できないのだ。恋人がいないのではない。恋人を作ることができないのだ。就職しないではない。就職する会社がないのだ。

「分かった。私がエリアちゃんにいいねをあげるね。」

 姉はいいね少女に「いいね」を送った。

「いいの!? 私なんか、友達もいないボッチのつまらない人間に「いいね」をくれるの!?」

 姉行動に驚くいいね少女。

「当たり前でしょ。私たちは友達よ。」

「友達?」

「私たちは同じ○○少女コンビニで働く、アルバイト少女なんだから。アハッ!」

 おバカな姉は単純で、みんなが友達になれれば世界は平和になると信じて微笑み、エリアに手を差し伸べる。

「ありがとう。真理亜ちゃん。私たちは友達。」

「そう、友達よ。」

 ここに姉といいね少女は友達になった。

「ということで私はエリアちゃんが寝ていた間に働いたから、後の仕事はよろしくね。バイバイ。」

「分かった! 私たち友達だもんね! 真理亜ちゃんの分までバイトを頑張るよ!」

 これが姉の正しい友達の助け合いである。

 つづく。

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