第40話 夜勤がいない

「でも一人でコンビニオーナーって大変でしょ?」

 気軽に仕事の大変さを聞いてみた。

「そうなんだ。24時間寝ないで過ごすことが普通になって、もう目が充血すらしなくなったんだ。」

 コンビニオーナー少女の目は死んでいた。

「それって・・・・・・ヤバイんじゃ。」

 姉はコンビニオーナー少女の目を見てゲッソリした。

「あ! 私、夜勤をしたいっていう少女を知っているわよ。」

 その時、姉は夜勤が得意な少女を思い出した。

「紹介してくれ! 夜勤当番がいてくれれば、私は久しぶりに眠ることができるんだ!」

「眠ったら成仏しそうね。」

 不眠不休のコンビニオーナー少女は死んでしまった方が楽だと思っているかもしれない。


「お金か・・・・・・私も生きていくためにはバイトしなくっちゃ。」

 ゾンビ少女のイリアは大神家で夕食を食べていた。

「偉いわ。イリアちゃん。うちのおバカな真理亜も一緒に働かせて。」

 姉妹の母のひばりは姉のバイト先もお願いする。

「それよりもイリアちゃんは夜間学校に通った方がいいんじゃないか?」

 父の慎太郎もゾンビ少女のことを実の娘の様に心配する。

「私は大丈夫です! それよりも毎晩美味しい夕食をご馳走になっているので、せめて食費代くらいはお支払いしたいんです!」

 ゾンビ少女はゾンビのくせに、とても良い子だった。

「イリアちゃん! なんて良い子なの! うちの真理亜に爪の垢を飲ませたい!」

「うちの養女にならないか! 真理亜は勘当だ!」

 真理亜の両親はゾンビ少女を大絶賛する。

「クシュン! 誰か私が可愛いと噂してるな。アハッ!」

 呑気な姉は細かいことは気にしない。

「ただいま!」

「ただいま戻りました。」

 姉妹が帰ってきた。

「いたー! イリアちゃん!」

 夕ご飯を食べているゾンビ少女をロックオンした姉。

「イリアちゃん! バイトしない?」

「アルバイトしたいけど、私! 夜しか働けないの!」

 ゾンビ少女の活動時間は夜だけだった。

「大丈夫! イリアちゃんにピッタリの夜のお仕事よ! コンビニの夜勤よ! アハッ!」

 姉はゾンビ少女にコンビニの夜勤を紹介するつもりである。

「やったー! 私でも働ける夜の仕事だ! 仕事を見つけてくれてありがとう! アハッ!」

「イリアちゃん! 私たちは友達でしょ! アハッ!」

 アルバイトが見つかり喜び姉に感謝するゾンビ少女。

「もちろん真理亜もイリアちゃんと一緒にコンビニでアルバイトするんだよな?」

 父の鋭いキラーパス。

「え!?」

 予期せぬ展開に固まる姉。

「そうよね。友達なら一緒にアルバイトすればいいのよ。」

 とどめを刺す母。

「う!? キレ痔が痛い!? 楓、私の代わりにバイトしなさい。」

「無理。だって私は小学生だもん。アハッ!」

 妹の方が一枚上手だった。

「そ、そんなー!?」

 逃げ場の亡くなった姉であった。

 つづく。

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