第39話 コンビニオーナー少女の悲劇

「コンビニオーナー少女!?」

 第三の○○少女ウリアの正体は、コンビニ少女はフェイクで、コンビニオーナー少女だった。

「そうだ! 私が〇〇少女コンビニのオーナーだ! なんか文句あるか?」

「ありません。アハッ!」

 丸く話が収まった。

「じゃあ、おにぎりとジュースと豚まんを貰っていくわね! ありがとう!」

 好き勝手にコンビニの商品を強奪していく姉。

「こらー!? おまえ! お金を払えよな!」

 それを制止するコンビニオーナー少女。

「なんで?」

「え!?」

 平然と悪気もなく尋ねる姉。

「だって私たち友達でしょ。」

「友達!?」

「そう、友達よ。友達のコンビニのおにぎりを私が食べて何が悪いのよ。」

 姉の理論は、友達の物は私の物である。

「ふざけるな! 警察に突き出すぞ!」

「フギャー!? なんで!? なんで!? お客様である私がコンビニオーナー少女に捕まらなければいけないの!? 助けてー! お巡りさん!」

 もちろんおバカな姉はコンビニオーナー少女に捕まった。

「不束なおバカな姉で申し訳ありません。ペコッ。」

 不祥事ばかりの姉の代わりに謝ってばかりの妹。

「今日の所は妹さんに免じて許してやる。二度とコンビニ強盗何てするなよ!」

 可哀そうな妹に同情して姉を叱責するコンビニオーナー少女。

「はい、二度としません。」

 素直に犯罪を認めて頭を下げる姉。

「お姉ちゃん、自分がコンビニ強盗しているという自覚があったのね。」

 その姿を見ていた妹は、姉が確信犯だったと気づく。

「助かったね。楓。アハッ!」

「私たちは実在する万引き家族じゃないわよ!?」

「アハッ!」

「笑って誤魔化すな!」

 さすがの妹も姉には手を焼いている。

「ウリアちゃん、コンビニオーナーって一人じゃ大変でしょ? お父さんとお母さんはどうしたの?」

 妹は気軽に質問してみた。

「・・・・・・死んだよ。」

 暗い表情になったコンビニオーナー少女。

「え?」

「コンビニの24時間労働で睡眠もとれないで体を壊して死んだんだ。だから私は親の後を継いで、コンビニオーナーの娘少女から、コンビニオーナー少女になったんだ。」

 コンビニオーナー少女の悲しい過去である。

「なんて悲劇なの!? 可哀そうなウリアちゃん!」

 同情して涙を流し心配する姉。

「な、泣いてくれるのか!? こんな私のために!?」

 姉の涙に感動するコンビニオーナー少女。

「当たり前じゃない! ウリアちゃん! 私たちは友達でしょ!」

「ありがとう! 私は真理亜ちゃんを誤解していたわ!」

「お互いご近所同士だし、仲良く助け合いましょう!」

「うん!」

 ここに姉とコンビニオーナー少女に友情と絆が生まれた。

「んん? 何をしている?」

 姉が万引きした商品の入っている袋を持った。

「じゃあ、おにぎりとジュースと豚まんはもらって帰るわね。」

「はあ!?」

 予測不能の姉の奇怪な行動に絶句するコンビニオーナー少女。

「だって私たち友達でしょ! 助け合って生きていかなくっちゃ! アハッ!」

 満面な笑みを浮かべ堂々と万引きしようとする姉。

「それとこれとは話が別だ!」

「ギャアー!? 助けて! 私たち友達でしょ! ね! ね! ね!」

 猫を掴むように姉を捕まえるコンビニオーナー少女。

「お見苦しい姉で申し訳ございません。ペコッ。」

 ひたすら姉の謝罪に追われる妹であった。

 つづく。

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