第29話 ゾンビ少女の苗字の由来

「それにしても本当に現れたのね!? ゾンビ少女!?」

 改めてお隣さんはお墓さんの存在に驚く。

「そうなのよ。私とアリアちゃんの世間話で話したら、編集者が「それ面白そうですね! 採用しましょう!」って、OKしちゃったのよ。」

 姉がお墓さんの登場の経緯を説明する。

「どうも、第二の少女、ゾンビ少女の青山イリアです。よろしくお願いします。アハッ!」

 ここで初めての普通に自己紹介ができたお墓さん。

「ちょっと待った!? 私は真理亜ちゃんのお隣さんだから名字が大隣になったけど、どうしてイリアちゃんは、青山なんてゴールドネームが名字なのよ!? 差別だわ!? これは差別よ!?」

 意義を申し立てるお隣さんはお墓さんの苗字が羨ましかった。

「まず大隣さんはアリアちゃんで使ったから使えないでしょ。」

「ふんふん。」

「最初は、お墓だから墓地イリアって、私は命名したのよ。そしたら妹が「ボッチちゃんだ。一人ぼっちが多い現代人が共感できる愛称で良いでしょ。アハッ!」ってことで、墓地イリアも使えなくなりました。」

「ふんふん。」

「すると東京の青山に青山霊園があるでしょ。これだ! って直感で感じたの。だから名字が青山になり、フルネームが青山イリアになったのよ! アハッ!」

 絶好調にお墓さんの苗字の由来を説明して満足な姉。

「ふんふん・・・・・・って、納得できるか!? 同じお隣で、大隣と青山って、名前に差があり過ぎだろうが!?」

 納得のいかないお隣さん。

「ああ~! 私を巡って、真理亜ちゃんとアリアちゃんが争うなんて!? 私って罪なゾンビ。アハッ!」

 お墓さんは自分を巡る二人の少女の戦いにゾンビだが悶えていた。

「コケコッコー!」

 その時、朝がきた。朝日に鶏が鳴いた。

「ギャアー! 朝陽!?」

 窓から太陽の陽ざしが姉の部屋に入ってくる。

「さようなら~。」

 ゾンビ少女は朝日を浴びて溶けて消えて、お墓に帰って行った。

「イリアちゃん!? せっかく新しい友達が出来たのに!? こんな別れ方は嫌ー!?」

 友との別れを悲しむ姉。

「夜行性なのね。アンデットは太陽の陽ざしに弱いのね・・・・・・いいわよ。青山イリアを名乗ることを許してあげるわ。悲しいね・・・・・・ゾンビって。」

 悲しみのゾンビ・スキルに同情するお隣さん。

「ふわ~あ、おはよう。お姉ちゃん。あ、パンダちゃんがいる? あれ? どうして二人とも泣いているの? 何かあったの?」

 眠って何も知らない妹が一番、強かった。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る