第28話 ゾン美少女

「イリアはちゃんと手紙を届けてくれたかしら?」

 姉の真理亜はお墓さんがお隣さんに手紙を届けてくれたか心配する。

「大丈夫よ。ボッチちゃんなら初めてのお使いも大丈夫よ。」

 妹の楓はお墓さんのことをボッチちゃんと呼ぶ。

「そうね。ゾンビ少女でも、お使いぐらいはできるわよね。アハッ!」

「そうよ。ボッチちゃんはカワイイから大丈夫。アハッ!」

「アハッ! アハッ! アハッ!」

「アハッ! アハッ! アハッ!」

 お気楽な大神姉妹である。

「ゾンビ少女で思いついたんだけど、超能力少女と言わないで、超能力美少女と、少女から美少女に変えてみたらどうかしら? 美少女戦士セーラ月とか、美少女で流行ったし。」

 珍しく姉にしては、ナイスな提案であった。

「どうしたの!? おバカなお姉ちゃんにしてはナイス・アイデアだわ。でも魔法少女ドギマギとかは、美少女じゃなくて、少女のままよ。」

 慎重な妹は姉に言い返す。

「う~ん。どうしよう? 難しいことを考えると頭が痛くなるのよね。」

 悩みが出来て考え出す姉妹。

「疲れたから眠ろうか。アハッ!」

「そうね。寝る子は育つって昔から言うもんね。アハッ!」

 何事も無かったように、若しくは他人事の様に温かい布団で眠ろうとする姉妹。

「zzz。」

 布団に入り3秒で眠る姉妹。細かいことは気にしないので、朝になって目を覚ませば昨夜のことは忘れてスッキリである。

「ちょっと待ていー! おまえらだけ寝るなー!」

 そこにお隣さんとお墓さんが魔法で瞬間移動して現れた。

「うわあ!? 何!? 何!? 地震!? 雷!? 火事!? オヤジ!?」

 寝ていた姉が布団の上に乗ったお隣さんとお墓さんの体重が重くて目が覚めた。

「おはよう。真理亜ちゃん。」

「ちゃんとお手紙を届けましたよ。アハッ!」

 目を覚ました姉の目の前に、恨めしそうな顔が二つあった。

「重たいー! どけいー! おまえたちー!」

「キャア!?」

 お隣さんとお墓さんを払いのける姉。

「おはよう。アリアちゃん、イリアちゃん。何かあったの?」 

 少し眠った姉は、もう何があったのか忘れている。

「何かあったのじゃないわよ!? 私の家の中をお墓だらけにしといて!?」

「ああ~、私のサイコキネシスでアリアちゃんのお家にも寂しくないようにお墓のお裾分けのお歳暮をしておいたのよ。アハッ!」

 善意の押し売りである。

「そんなお歳暮は要らんわいー!」

「チッ、残念。」

 本気で悔しがる姉。

「それにしてもすごいですね。こんなに騒いでいるのに目が覚めないなんて。」

 まだ妹は目が覚めないで熟睡していた。

「お子様だからね。」

 少女三人は幼いので起こすと可哀そうなので、騒がしい争いをやめて妹を寝かしてあげることにした。

 つづく。

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