第26話 初めての魔法

「う・・・・・・やめろ・・・・・・お願いだ・・・・・・殺さないでくれ!?」

 真夜中に怖い夢を見てうなされる姉の真理亜。

「はあ!?」

 目が覚めてベットから飛び起きる姉。

「なんじゃこりゃ!?」

 全身の毛穴という穴から冷や汗をかいている。

「お姉ちゃん・・・・・・うるさいよ。」

 隣の部屋から寝ぼけながら妹の楓がやって来た。

「おおー! 我が妹よ! 私を心配して来てくれたのだな! ありがとう!」

 一人が怖いので援軍が来たことが嬉しい姉。

「・・・・・・どうしたの?」

「実はカクカクシカジカで・・・・・・。」

 姉は妹に怖い夢を見たことを話す。

「・・・・・・おしっこ。」

 まだ寝ぼけている妹は姉よりもトイレを優先する。

「まって!? 置いていかないで!? 楓ちゃん!? 一人にしないで!? 私も行く!」

 妹に食らいつく姉。

「それは魔法少女の仕業ね!」

 トイレから帰ってきた妹が姉に熱く語りだす。

「アリアちゃんの仕業!?」

 予想外の展開に驚く姉。

「そうよ! パンダちゃんが魔法を使ったのよ!」

「魔法!? アリアちゃんって、魔法を使えたの!?」

「当たり前でしょ!? パンダちゃんは魔法少女なんだから! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!」

「アハッ!」

 お約束の展開です。

「お姉ちゃん! あれを見て!」

 妹は窓の外を指さす。

「ああー!? お墓だ!? いつの間に出来たんだろう!? 縁起が悪い!?」

 窓の外には今までなかったのにお墓があった。

「第二の少女がゾンビ少女と議題になった時、パンダちゃんが縁起が悪いから自分の家の隣にお墓ができるのを嫌がり、我が家の隣にお墓を魔法で作ったのよ。」

「なんですって!?」

 分かりやすく家の並びでいうと、お墓、大神家、大隣家である。

「我! 魔法少女アリアの名において命令する! いでよ! 私の家から二件隣で真理亜ちゃんの隣にお墓!」

 間違って自分の家の斜め隣にお墓ができないように事細かい魔法を詠唱するお隣さん。

「だって、怖いの嫌いなんだもん。」

 こうしてお墓は誕生したのだった。

「そんなー!? 魔法少女の初めての魔法が、お墓を作っただけだなんて!? なんて可愛そうなの!?」

 お隣さんに同情する姉。

「ツッコム所はそこじゃないでしょ!? お姉ちゃん! 少しズレてるよ!」

「アハッ!」

 笑って誤魔化すお約束の展開。

「許さんぞ! アリアちゃん! 自分だけ安心して眠れると思うなよ! 私のタイキックの恐ろしさを教えてやる!」

「サイキックの恐ろしさでしょ!? お姉ちゃん! 少しズレてるよ!」

 次回、超能力少女の反撃が始まる。

 つづく。

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