第25話 親の職業は全てマジシャン
「パンダちゃん、笹をあげるから元気を出して。」
妹の楓が笹をお隣さんに差し出す。
「ありがとう。楓ちゃんは優しいね。」
笹を貰いパンダちゃんと呼ばれることを受け入れるお隣さん。
「分かった! こうしましょう! ○○少女のお父さんは、全員! 世界的有名なマジシャン! その妻は専業主婦! これでいきましょう!」
姉の真理亜は珍しく頭を使ってみた。ただ今後に創作で苦労したくないだけかもしれない。
「のった! そのアイデアに賛成! これで私のお父さんとお母さんは、いつか出てきても大丈夫だわ!」
天涯孤独を免れたお隣さん。
「さすがお姉ちゃん。私の姉だけのことはあるわ。」
妹も姉を少し見直した。
「楓ちゃん、それはお姉ちゃんを褒めているのかな?」
「そうよ。総合査定は、未だにマイナス圏内だけどね。」
「ガーン! 私の存在って何!?」
おバカキャラの姉は妹に見下されている。
「さあ! これでアリアちゃんの初期設定もできたし、これから何をしようかしら?」
冷静さを取り戻した姉。
「もちろんサイキック勝負よ! あなたのサイキックと私のマジック! どちらが強いのか勝負よ!」
「タイキック勝負?」
「サイキック勝負よ! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!?」
お約束の展開である。
「そうか! 少女のお父さんが全て世界的有名なマジシャンで知り合いで仲良しなら隣に住んでいて、その子供である私とアリアちゃんが幼馴染で仲良しな友達であっても無理な設定じゃない!」
辻褄合わせだけはできる子の姉。
「恐ろしい才能だわ!? お姉ちゃん!?」
姉のチートな性能に戦慄を覚える妹。
「見たか! 魔法少女! これが私のタイキック・スキルよ!」
自信満々で勝ち誇った姉。姉のサイキック・スキルはストーリーの辻褄合わせに発動する優秀なスキルだった。
「そこはサイキック・スキルでしょ!? お姉ちゃん!? 少しズレてるよ!?」
「アハッ!」
この流れはお約束。
「え~っと、私が真理亜ちゃんのお隣だから、ゾンビ少女のイリアちゃんのお家は真理亜ちゃんのお家の隣で、私の家からは離れていると。」
お隣さんの魔法少女は姉の話を聞いていなかった。
「こらー!? ちゃんと私の話を聞いてるの!?」
怒る姉。
「だって、自分の家の隣にお墓とかあったら、夜中に怖い夢を見て、うなされそうなんだもの。アハッ!」
お隣さんは縁起を大切にする魔法少女だった。
つづく。
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