第21話 本当に名前が決まる

「分かった! 分かった! 今度こそ、良い名前を決めるから怒らないで!」

 姉の真理亜はお隣さんの猛攻に白旗を上げた。

「本当? 今度もおかしな名前を付けたら、命はないと思えよ!」

 自分の名前がかかっている、お隣さんは激おこぷんぷん丸だった。

「はい! 分かりました! 欲しがりません! 勝つまでは!」

 戦時中の日本の光景と同じ追い込まれた姉であった。

「さあ! 私の名前を考えなさい! 死にたくなければね!」

 銃口を突き付けて脅しているような迫力のお隣さん。

「はい! えっと、何にしようかな? あ~でもない。こ~でもない。」

 お隣さんの名前を考え始めた姉。

「ピキーン!」

 その時、姉のサイキック・インスピレーションが閃いた。

「良いアイデアが思いついたわ!」

「あんたは一休さんか!?」

 アイデアの神が舞い降りた時の姉はロクな思い付きはしない。

「あなたの名前は・・・・・・アリアよ! 大隣アリアよ!」

 意外にまともな名前を思いついた姉。

「アリア!? それが私の名前!?」

 予想以上に良い名前だったので戸惑うお隣さん。

「そうよ。あなたの名前は、アリアよ。」

「確認しておくけど「ありゃあ!? やっちまったな!?」から付けたんじゃないでしょうね?」

 あくまでも姉に半信半疑のお隣さん。

「ち、違うわよ!? 私が真理亜だから、アリアにしたの。アハッ!」

「アリア? アリア。それが私の名前。私はアリアなんだ。アハッ!」

 意外に自分自身にフィットした名前を喜んでいるアリア。

「アリア、私たち友達でしょ。アハッ!」

 ニッコリ笑って友達をアピールする姉。

「うん! 私は真理亜ちゃんの友達だよ! アハッ!」

 笑顔で返事をかわすお隣さん。

「やったー! 新しい友達が出来たー! アハッ!」

 飛び跳ねて喜ぶ無邪気な姉。

「良かったわね。お姉ちゃん。お友達が出来て。お姉ちゃんの笑顔は周りのみんなに伝染するのよ。きっとお姉ちゃんは皆を幸せにする超能力者になれるわ。うるうる。」

 見ていた妹は姉に友達が出来て、話が丸く収まったので感動する。

「真理亜ちゃんのサイキックってすごいわね。」

 友達になったお隣さんが姉のサイキックを褒めてくれた。

「サイキック!? 私がサイキックと言わずに、タイキックと言っていることを、私の友達なら知っているはず!? それを知らない、おまえは何者だ!?」

 タイキックに意識の高い姉が身構えながら、お隣さんを疑いの眼差しで見つめる。

「こだわるところは、そこなの!? お姉ちゃん!? 少しズレてるよ!?」

 見守る妹の苦労は終わらない。

 つづく。

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