第19話 魔法少女を探せ!

「魔法少女はどこにいるのよ? もう!? 迷惑な魔法少女ね!?」

 姉の真理亜が勝手に名前をあげただけで、魔法少女にはいい迷惑である。

「向こうがマジックガールなら、私はタイキックガールだ!」

「サイキックガールよ!? お姉ちゃん、少しズレてるよ!?」

「アハッ!」

 そろそろ姉も確信犯で間違えている自覚がある。

「魔法少女はクラスメート!? それとも隣町に住んでいるの!? いったいどこにいるのよ!? 魔法少女は!?」

 見えない魔法少女に頭をかき乱し錯乱する姉。

「あれ? 隣の家、私が破壊したはずだけど、もう直ってる? 早いわね。」

 その時、窓から隣の立派な家が見えた。

「楓、あんたが直したの?」

「私何にもしてないよ。」

 妹の楓は自分ではないと否定する。

「じゃあ、お母さん?」

「いいえ、私もノータッチよ。」

 母のひばりも違う。

「おまけにお父さん?」

「誰がおまけだ!? 私は何もしていないぞ。てっきり真理亜が壊したから、自分でがんばって直したんだと思っていたよ。」

 父の慎太郎も否定する。

「ま、まさか!?」

 最悪のシナリオに気づき立ち上がる姉。

「ピーポン!」

 その時、大神家の玄関の呼び鈴が鳴った。

「は~い! アマズンの高級エビフライセットが届いたのかもしれない!」

 裸足で駆けていく姉。

「どうぞ! ガチャ。・・・・・・ん?」

 誰が来たのかも確認せずに玄関の扉を開ける不用心な姉。

「真理亜ちゃん、遊ぼう。ニコッ!」

 可愛い女の子が笑顔で待ち構えていた。

「え? あの・・・・・・どちら様ですか? どうして私の名前を知っているの?」

 姉には女の子の様な友達はいない。

「私よ、私。真理亜ちゃんの家の隣に住んでいて、幼馴染で幼稚園から小中高と一緒の学校に通っている大親友の○○よ、○○。」

 それでも女の子は姉の友達だと言う。

「え? え? え?」

 戸惑う姉。

「ピーン!」

 その時、姉は何かを感じた。それがサイキック・インスピレーションなのか、はたまた違う何かなのかは分からない。

「そうだ! ○○ちゃんだ! 遊ぼう! いつもの様に遊ぼう!」

「おお!」

 次の瞬間、誰とも分からなかった女の子と姉は昔からの知り合いだったかのように遊ぶことにした。

(あれは!? タンペリング・ウィズ・メモリズ!? 魔法でお姉ちゃんの記憶を改ざんした!? あの女の子は、いったい何者!? まさか!?)

 その様子を見ていた妹の楓は何かに気づいた。

 つづく。

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