第16話 誰にも知られてはいけない。
「お腹も空いたし、お家に帰ろうか。」
「そうだね。お姉ちゃん。」
「今夜のおかずはカレーか、ラーメンがいいな~。」
「お姉ちゃん、そこはエビフライでしょ?」
「え!? 私、エビフライしか頼んじゃいけないの!?」
仲良しの姉の真理亜と妹の楓は、子供たちを自動車事故から守ることができて満足して自宅に帰ろうとした。
「あら? 人だかり。何かしら? 面白そうね。行ってみよう!」
「え~!? 帰らないの!?」
「少しだけよ!」
静止する妹の言葉を聞かずに人混みに突入する姉。
「これは!?」
目にした物は、暴走した車が炎上している光景だった。
「おい、聞いたか? 暴走した車が子供たちに突っ込もうとしていたんだってよ。」
「危ないわね。でも車が突如空中に舞い上がり地面に衝突したんだって。絶対にスピードの出し過ぎよね。」
野次馬の人々が噂話をしている。
「こ、これって!? もしかして!? 私がやったの!?」
初めて自分が超能力で行った行為の破壊力や恐ろしさを実感して恐怖する姉は冷や汗をかいていた。
「事故現場を見ていたけど、スリップというよりは魔法か超能力で車が空に飛ばされたのかと思ったぜ!?」
まだ野次馬たちの話は終わらない。
「ゴクンッ!?」
その話にこっそりと耳を傾けて話に聞き入る姉。
「でも本当に魔法使いや超能力者がいたら、やらないとな・・・・・・魔女狩り。もしかしたら事故現場にいたりしてな?」
野次馬の発想は恐ろしいもので、自分と違う異端者は血祭りにするというのだ。
(ギャアー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
大声を出したかった姉だが、自身の身の安全がかかっているので、心の中で叫んで全力で妹の元に逃げ出した。こういうことには頭の回転が速いのであった。
「はあ・・・・・・はあ・・・・・・。」
全力で駆けてきた姉は肩で息をするほど呼吸が乱れていた。
「どう? お姉ちゃん。お母さんが「超能力者だと、誰にも知られてはいけない。」と言った意味が分かったでしょう?」
妹は既に超能力者だと見世物にされたり、命を狙われる危険があると知っている。
「うんうん。楓ちゃん、人間って怖いよ!? 早くお家に帰って揚げたてホクホクのコロッケを食べるんだー!」
「そこはエビフライでしょ!? お姉ちゃん!? 少しズレてるよ!?」
姉妹は自宅に帰って行った。
つづく。
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